ぴょん記

こつこつ憶える

Buch

『蚤と爆弾』

新装版 蚤と爆弾 (文春文庫) 作者: 吉村昭 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/04/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 吉村昭が昭和40年代前半に世に出していた作品で、もとの名前は、『細菌』。冒頭近く、敵を殲滅するのに、銃砲を…

やがて立秋の声もきくころ

前夜は、仕事明けでぐずぐずしたまま、腹の痛いのも一緒に連れて眠ってしまった。6月に目の手術をしてから、刃を入れた右のほうはなにもしない左よりも格段に明るく見えるようになった。水晶体も年を取るのだね。まだ瞳にレンズが入っていないからあいかわ…

眠気に浸っている

水曜、木曜と、雨と曇り、その結果としての涼しい日が続いた。水曜に仕事を仕上げて、20時ごろから夜中まで寝続けた。それから西瓜を食べて歯を磨き、また明け方まで寝た。木曜は、ずっと眠くて、やっと16時ぐらいになって、洗濯と夕飯の仕度を並行して…

『週末』Das Wochenende

『朗読者』のベルンハルト・シュリンクの新刊『階段を下りる女』が出るというので、その前に邦訳が2011年に出された『週末』を読んだ。訳はいつもの早稲田大学の松永美穂先生で読みやすい。 1944年生まれで68年世代のひとりとされているシュリンク…

『悪童日記』

あなたの愛した人の、けっしてみせてくれなかった半面の概要。

むずかしいまんが

ごく短期間に何度も読み返すまんがもある。白井弓子の『天顕祭』は、350余ページを読み通してすぐに頭に戻ってもう一度読んだ。さきに番外編の『菩薩の山』を読んでからだったので、本編が、この菩薩を遠い奥山に隔離せざるを得なかった原因である「汚い…

魔女と暮らす山里に

『リトル・フォレスト』を読んだ。岩手県奥州市衣川区大森という厳しい自然と豊かな恵みに彩られた一帯が舞台となっている。主人公の若い娘は、ふたりで暮らしていた母親にあるとき失踪される。母親が彼女自身のために家を出て行ったのか、それとも、娘の成…

旧盆前のほんの数日

この小説で描写される現実の時間はとても短い。 先週末から、ふと作中に出てきたガス壊疽のはなしを確かめようとして、本棚の上のほうにあった高村薫『照柿』の文庫本を上下とも捲っていた。ガス壊疽とは、ガス産生菌による進行性の軟部組織感染症で、ベアリ…

横光利一『御身』/鴎外『あそび』『食堂』

2日は5時前に起きてサンふじを1個食べてまた6時半まで寝たのだったが、3日は、3時半からなぜか眠ったり起きたりしながらiPadで青空文庫の短編を拾って読んでいた。ふらふらしていて刃物を使うと怪我をしそうだったので、16穀パンの上の4分の1を、…

あなたのひらいた窓

Kindleで岡崎京子の作品を何冊か手に入れて読んだ。それらの作品を初出時に雑誌で読もうと思えば読めた、世代の近い作家ではあるけれども、その当時のわたしの漫画の趣味が稚かったがために、まるで過去として提示されたもうひとつの現実で、だから予め締め…

夏目漱石『道草』

明け方につかまった漱石『道草』が思いの外、長い。— pyonthebunny (@ae_pyonpyon21_j) 2016年10月31日 図書カード:道草 月曜の早朝、青空文庫で、漱石の『道草』を読み始めた。虚実皮膜の立場から、先日、NHK-Gで連続4回で放送された「夏目漱石の妻」第3…

天冥の標Ⅸ PART2

天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと(ハヤカワ文庫JA) 作者: 小川一水 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2016/10/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る この物語世界では、西暦2500年ごろ、太陽系社会において致命的な大戦争…

小説のやうなルポルタージュのやうな

きのうのエントリの終わりに、森村誠一『分水嶺』を紹介しておいた。わたしは、この本を、高校時代に子守のために泊まった先で見つけて読んだ。各種設定や人物造型について指摘したい点は多々あれど、約40年前に書かれた小説であることを踏まえるとあまり…

雲田はるこ『昭和元禄落語心中』第10巻

落語という古典芸能をめぐる群像劇であるとともに、助六と春比古ふたりの因縁の物語である、長いお話が終わった。最後のほうで、びっくりする仕掛けが施されているけれども、それについては、ぜひ、第1巻から通して読んで、その重大事がどうしてこんな扱い…

和泉かねよし『女王の花』第14巻

この巻で、なぜ、亜国の姫である主人公が生国を逐われ、母親の国である「黄」や、その隣国の「曾」に久しく客分として逗留し、親の仇への復讐に備えねばならなかったのかがとうとう明かされる。それは、国の統治権を掌握する者の正統性に関するもので、もし…

『雲ながれゆく』

ここにひとりの働く女性がいる。経営の才があるらしく、現在つとめている菓子舗でも製造ラインと営業の両方の従業員らから慕われ、また、前職のレストランからはそちらを辞めてまたうちに戻ってこないかと強く誘われている。その彼女が、ある夏の日、夕立に…

和泉かねよし『女王の花』第13巻

この巻の冒頭、亜姫は曾国、黄国の助勢を得て、生母が毒殺され、父王も弑逆された母国との戦争に赴く。西方出身の商人を装ったインテリジェンスの人は去ったが、相愛の金髪碧眼の奴隷は毒の後遺症を抱えながら、亜姫から離れようとはしない。両親を殺した母…

『大地』

今週のお題「読書の夏」 高校2年の夏と、24歳の夏に読んだ、パール・バックの『大地』。努力家だが、貧苦に喘ぐ毎日を送る小作農が、地主の家から頑丈さが取柄の女を妻に迎える。その後、ふとしたことから土地を買う元手を掴んだ小作農は、地道に自分の農…

読んで、しまう

そのラブホテルは30年の間、北の大地の湿原に面した場所に建っていた。市内の看板屋の一人親方が、業者の口車に乗せられてつくった。彼を後妻と彼女との間に儲けた娘もろとも借金漬けにしながら、ともかく30年間、1階は車庫、2階が客室で6部屋あるそ…

不条理に面前する

なんとも理屈の通らない暴力と、整然と理屈で説明できるそれと、はたして自分はどちらをより多く浴びせられてきたか、そして与えてきたかを考える。また、いずれ時間を掛ければなんとか理由が割り出せるひどい出来事であるにしても、それが起こる一瞬には、…

トゥモローワールド children of men

2日に、わしわし仕事を片付けたので、3日は調整日にした。WOWOWで録画されていた、「ふたがしら」第3話をみて、それから、映画「トゥモローワールド」へ。両方とも原作あり。 原題「人類の子供たち」のほうは、前にも書いたようにディストピアものである…

優先劣後

小説『わたしを離さないで』感想文 - ←ズイショ→zuisho.hatenadiary.jp ズイショさんが『わたしを離さないで』のブックレビューを書かれていたので、昨日の午前中、わたしもぽつぽつ同作の内容を反芻しながら、ついでに同名の映画を思い出しながら感想文を綴…

コトコト

365日。小さなレシピと、日々のこと 作者: 渡辺有子 出版社/メーカー: 主婦と生活社 発売日: 2014/11/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る せまい机の上でよろよろと回っている独楽のような身の上なので、しばしば簡単に落ち込む。ただし…

このごろ読んだまんがなど

※ まんがのレビューなどだから、ツイッターに更新報告します。 大奥 6 (ジェッツコミックス) 作者: よしながふみ 出版社/メーカー: 白泉社 発売日: 2014/08/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 男女逆転劇の『大奥』で、綱吉の最期と家宣の短…

歪曲された評価

幻の翼(百舌シリーズ) (集英社文庫) 作者: 逢坂剛 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2014/03/20 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 高倉健主演の『君よ憤怒の川を渡れ』に、ひどい病院が出てくる。上掲の逢坂剛『幻の翼』の病院と似たような…

天冥の標・最近刊/【お題】「暑いから何か飲む?」

早川書房さんのメルマガをつらつらと目で追っていたら、天冥の標の8巻。ひょっとして、また、PART 3 まであるのかしらね。 JA『天冥の標 8 ジャイアント・アーク PART1』小川 一水 778円/2014/05/23発売予定— ae_pyonpyon21_jp (@ae_pyonpyon21_j) 2014,…

後継と守護者

小川一水の『天冥の標』における、斑紋をもつ一族の裔と、ハネをもつ生体群との関係にも似て、遠藤淑子『プラネット』では、特殊な遺伝子をもつヒト「リース」をアンドロイドの集団が護っている。 護られる者は寡なく、また、弱い。護る者も数少なではあるが…