ぴょん記

こつこつ憶える

その世界に居た

 25日は、5月上旬にも比せられる温い日で、そんなよい日和にもかかわらず、わたしは、都内屈指の大病院の、なぜか閑散とした待合スペースにいた。ツイッタのお友達に勧められて購入した2冊の美麗な漫画本が、血液・任意尿検査の結果があらわれるまでのこころのなぐさめだった。  

 

 このごろ、文章、映像、そして漫画にも、なかなか没入できない時間を過ごしてきた。外的環境があれなのと、自分の体の具合がよくなくて、とくに目は、とうとうふたつとも「さかさまつげの刑」に服してしまった。薬の副反応で頬が腫れ、下のまつげが内側に折れ込むのだ。

 

 まつげなんて、ビューラやマスカラなどは一通りもっていても、自分で加工したことなど一切なかった体のパーツだったので、これがいったん眼球を刺戟するとこんなに痛いものだなんて考えたこともなかった。あ、「脳内補完」組のかたのために書いておくと、「目に下まつげが入ってしばらく痛かった」ということ。

 

 それが、この2冊にかぎっては、するっと本の世界に自分を紛れ込ませることができた。この作品のどこがわたしにそれを許したかはまだわからない。何回も読んで考えてみたいものだ。

 

夢源氏剣祭文 壱 (単行本コミックス)

夢源氏剣祭文 壱 (単行本コミックス)

 

 

夢源氏剣祭文 弐 (単行本コミックス)

夢源氏剣祭文 弐 (単行本コミックス)

 

  羅城を守護すべき門として設けられた羅生門。その門によって都に入ることを阻まれたある存在が、袴垂、将門・純友、秀郷、そして坂田金時らと関わり合っていくお話。画が美しいので、ぜひ、紙に印刷された作品として味わってほしい。

 

 作者の皇なつき(すめらぎなつき)さんは、立命館大学文学部日本文学専攻のご出身とか。年代からして、わたしのきょうだいが同大学の他学部に在籍していたころなので、たとえばわたしが立命館衣笠キャンパスに遊びにいったときなどに、ひょっとしたらすれ違っていたかもしれない。

 

 病院での用事が済んで辛夷の咲くタクシー乗り場からまた移動した。駿河台下で家族と合流して、客単価は手頃なのにとにかくおいしい鮨屋で早めの夕飯。ふだん自宅療養ということで、大根1本買うにもネットスーパーのお世話になっているけど、外の世界には、たのしいこともやまほどあるのだな、と。