ぴょん記

こつこつ憶える

優先劣後

 

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 ズイショさんが『わたしを離さないで』のブックレビューを書かれていたので、昨日の午前中、わたしもぽつぽつ同作の内容を反芻しながら、ついでに同名の映画を思い出しながら感想文を綴ってみた。ところが、書いている途中で、どうしても異種の生物間の知性の多寡、さらには同種の生物間でのそれによって、生き残る価値は量られるべきなのかという壁に行き当たってしまった。

 

 同種の生物、就中は、人間。

 

 この作品に限らず、『禁断のクローン人間』『侍女の物語』『人類の子供たち(映画「トゥモローワールド」の原作)』などを読むにつけ、生物、とりわけ、人間の身体はある種の人々にとっては、価値の数値化が明らかに可能な資源であり、その数値の大小によって扱いに差を設けるのは当然のこととなるのだなあと思い知らされる。

 

 身体の価値。たいていは、個体としての健康さ、若さ。上掲の作品では、臓器の活きのよさや子供を産めるかどうかが重視されていた。では、その身体の持ち主の内面は?人間のあたまの中身は、労働市場や教育現場において(建前上であれ)しばしば神聖視されるほど、客観的に意味があるものなのだろうか。

 

 芸術を解し、本気で恋愛を貫くことは、はたしてその人間が生きて在ることの価値を高めるのかどうか。そんなことは、未来への儚い希望の見え隠れする中で、当事者たちは、およそ考えもしなかったであろう。それだけに、頁を捲ることを通じて彼らを見守る読者であるわたしたちは、せめて再読時にでも、彼らの在り方をじっとみつめてあげられたらいいなと思う。

 

 20時24分ごろ 小笠原諸島西方沖 震源 M8.5 揺れた。