ぴょん記

こつこつ憶える

食欲

 ごくたまに、奈良から柿の葉寿司を取り寄せることがある。元気のよい柿の葉に包まれた、輸送途中も刻々と熟成されてくるすし飯と魚の小片(さば、さけ、たい)。柿の葉を剥がしながら、軽く醤油を加えて口に運ぶ。

 

 ふつうの握り鮨と異なるのは、柿の葉を取りのけてそれを脇に積みながら中身を平らげていくという手順だ。そこにいつもとは違う間合いが生まれ、遠いところから旨いものをわざわざ時間と余分なお金を掛けて運んできてもらっているという、かすかな「見栄」の喜びもある。なにせ俗物ですから。

 

 と、酢で繋ぎ止めていた食欲が、ここにきて暑いせいもあるのだろうが、毎日の服薬量が少なくもないせいで、がたんと音を立てて止まった。当分の間、午のめしを抜いても構わないだろうか。

 

 豆腐の半丁でも食べたほうがいいのはわかっているのだけど。