ぴょん記

こつこつ憶える

真意ではない悪態

 会話の中で、ぽろりと思わず本音が転がり出ることがある。感情が激しているときなど、とくに。そして、その逆もしかり。つまり、本当のところ、たいして確信ももたずに口にしたことばが、思いがけない破壊力で相手の心に突き刺さることがある。

 

 それで痼りが残りでもしたら、もったいない。なにせ、真意に基づかない、本来的意味での失言による行き違いなのだから。

 

 きのうだったか、NHK朝の連続テレビ小説をみていたら、劇中、主人公の女友達が、幼なじみの漁師にかなり失礼なことばを投げつけていた。ところが、彼女のことを小さいころから見つめてきてかわらず大切に思っている彼は、そのことばに怯むことなく、「思ってもいないひどいことをいうな。」という趣旨の切り返しで、彼女の暴言を明後日の方向に押し流してしまった。

 

 上の例などは、ある男が女を愛するあまり、彼女の言動のすべてを善意に解釈する姿勢があるから起こる現象だろう。もっとも、そこにつねにあつあつの恋情が求められているわけではなく、ほんの少し、あの強いことばの裏には、それほど厚みをもつ、かなしみやうらみつらみがあるわけではないかもなと顧みてあげるのも、憐憫の情かも。

 

 とはいうものの、これは、おとなどうしの話。こどもが、連絡ノートに死を仄めかしたり、何日も学校を休みたがったりしたら、さすがにまわりのおとなはその異状に気がつかないといけないだろう。