ぴょん記

こつこつ憶える

不条理に面前する

 

神々の歩法 -Sogen SF Short Story Prize Edition- 創元SF短編賞受賞作

 

 なんとも理屈の通らない暴力と、整然と理屈で説明できるそれと、はたして自分はどちらをより多く浴びせられてきたか、そして与えてきたかを考える。また、いずれ時間を掛ければなんとか理由が割り出せるひどい出来事であるにしても、それが起こる一瞬には、たいていのものごとはなぜそれが起こるのか理解できない理不尽なものであることが多いように感じる。

 

 『神々の歩法』に現れる圧倒的な暴力は、いったい何のために行使されるのか説明されず、また、解説を加えられる必要すら感じられない。暴力のはてに得られた支配は、目的ではなく、単なる結果にすぎない。不安と絶望は、戦いの通過点を彩る感情であり、圧倒的な敵を斃した先に得られる均衡がもたらすのがいかなるかたちの「平和」なのか、少なくとも戦場にいる者には予想もつかない。

 

 そういう疾走感。あっという間に走り抜けていくものがたり。