ぴょん記

こつこつ憶える

取り戻すレトリバー

お題「私のカバンの中」

 

 この一年は、ほとんど出歩かず、例外的に外出するのは、病院に行くか遠方に旅行するときぐらいだった。だから、鞄の中には、財布とタオルとティシューのほかは、雑誌とiPad、それから歯磨きセットぐらいしか入っていない。

 ふだん持ち歩く鞄は、信三郎帆布の白いバッグ。京都高島屋の企画のチャリティで購入したもので、ポケットのところに現役の哲学の某先生のサインがある。そのありがたいバッグは、年に一回、水を通されて洗われるので、そのたびに幾分縮んでしまう。がわが縮むとそれだけ収められる中身も減るので、わたしの持ち物はどんどん少なくなる。

 「鞄」の字の通り、革を縫ってつくった鞄を持ち歩きたくなることもある。ただ、持ち主のわたしが、よろよろ歩き、しばしば休み、そのたび不安定な地面に置いてしまうこともある鞄は、軽くてしかも汚れを取り去ることが簡単であるとうれしい。革の鞄はさぞかし堅牢だろうが、ある程度の重さがあり、そして、染みもいずれつくことだろう。石鹸とブラシである程度の白さを維持できる帆布は、非力な時期には似つかわしい。

 もっとも、いまよりももう少し、筋力が戻ったら、鞄の中身にひとつ追加したいものがある。それは、1リットルくらい入る水筒で、水気さえ十分にもっていればかなり安心して外でゆっくり過ごしていられるので、ぜひ持って歩きたいのだ。

  わたしの望みなんて、欲深にみえて、実際、分解してしまえば、ひとつひとつは、このようにささやかなものなのだなあ。