ぴょん記

こつこつ憶える

ミュンヘン

お題「何回も見た映画」

 

 先週は、ヨーロッパの強制収容所を4つ移動させられた女性のドキュメンタリーと、東京の「養育院」入所者の記録と、ふたつのテレビ映像で、第二次世界大戦中に亡くなった方のご遺体の画像や映像を間接的にではあるが多数目にした。爆撃や銃撃による死、病気や飢餓による死、その理由は様々であっても、死という結果は必ず重い。

 『ミュンヘン』は、1972年9月6日、かねてより開催中のミュンヘン・オリンピックの選手村に、パレスチナゲリラが侵入し、イスラエルの選手団員のうち11名が死亡した事件に端を発している。ときのイスラエル首相は、ゴルダ・メイア。彼女は、空爆をはじめとする報復を指示し、次いでミュンヘンオリンピック事件に関わった者の暗殺に着手させた。

 映画は、この暗殺を直接実行したチームのメンバーの主にヨーロッパでの活動を描写する。本国に若妻と幼子を残してきたリーダーや、少しニヒルでクールなハンサム、優秀なメカニック、プロに徹するベテラン、経験豊かなご意見番など、とにかく個性豊かなメンバーたちだった。

 はじめのうち、計画がうまく運んでいるうちは、若干のストレスを覚えながらも、彼らは、よく働いた。たまには軽口も飛ばしつつ、自分に与えられた任務を注意深くこなしていた。ところが、もちろん敵勢力としてもイスラエル側の攻勢にいたずらに手を拱いていたわけではなく、まもなくじわじわと反攻が始まる。これにフランスの家族経営の犯罪シンジケートなどが絡んでどんどんややこしくなるし、また、本国との間でも、微妙に綱引きが始まって、暗殺チームのメンバーは次第にナーバスになっていく。そして、ついにメンバーの一人が敵方の手にかかり……。

 「死ぬ」「殺される」と、「死なせる」「殺す」。とても重いことのはずなのに、戦争やテロという大量死の現場では、しばしばそれが数として認識される。ひとりひとりに名前があり、記憶も未来もあったはずなのに(たとえ幼すぎたり老いすぎたりしていたとしても)、積み上げられたご遺体のひとつとして数えられる。その無残。

 

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 戦時においても犯罪は犯罪であるとして警察で働く初老の男性が主人公の『刑事フォイル』が現代イギリスで人気なのは、そういう殺伐とした中でも被害者ひとりの死の重さを大切にしたフォイル警視正の姿が、いまの世でも慕わしいからではないか。

 

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