ぴょん記

こつこつ憶える

ハードディスクに息づく夫

 

  ある生体の脳内現象を一切合財「コンピュータ」上で再現できるようになれば、たとえその生体のオリジナルが死滅したのちも、生体そのものの精神は「コンピュータ」上でなおも生存を継続するのではないか。……といわれると、つい70年代の北米SFショートの皮肉な顛末を思い出してしまうのだが、この映画はあくまでシリアスな展開。

 生身の身体だったときも頭脳明晰だった夫は、テロによって肉体を失い、一種のプログラムと化したのち、インターネットで世界と繋がることによって、爆発的に知識と経験をその内側に摂り込むことに成功する。電子の世界から物理の世界へのいわば「逆介入」ともいえる、別の生体を自分のインターフェイスにすることによって、彼は最愛の妻に再び触れることすら実現する。

 物語の最終章、夫妻のかつての家の荒れ果てた庭で、ひまわりの花のみがなおも瑞々しいのが印象に残る← 。