ぴょん記

こつこつ憶える

終末を委ねられた人

 

終の信託

終の信託

  重い呼吸器疾患(喘息)で25年間も闘病を続けてきた初老の男性が主治医である女性に自分の最期のときについてある依頼をする。それが実行されて3年が経過したある日、女医は、男性の遺族から彼を殺したとして告訴される。

 終盤の検察官とのやりとりは別として、途中までは、医師の私生活の状況も絡めて患者の病状がだんだん思わしくない方向に進んでいくさまが描かれている。少年のころの満州での体験から患者は遠からぬ自分の終わりの時間をこれこれこのように過ごしたいと医師に希望を伝える。役所広司草刈民代は、Shall we dance? では、ダンス教室の生徒と講師だったが、今回は、患者と主治医。患者のお願いを聞き入れる医師。信頼。ここまではいい話。ところで、子や妻にとっては父や夫であるこの患者の死をどうしても受け容れられなかった遺族は、この恩ある女性を訴える。その結果、彼女は、医師としての行いとはかけ離れた私生活まで衆目に晒されることになり、その果てに仕事すら失うことになる。

 ぱっきりきれいに割り切れるわけではないなまの現実を前にしたとき、大きな惑いが生じがちであるというおそろしい話だった。