ぴょん記

こつこつ憶える

毎夜しらない海で溺れている

 おそろしい夢をみていてそこからまるでUFOキャッチャーに摘ままれて救い出されるようにはっと目が覚めるのではない、わたしの早朝は、薄紙を一枚ずつ剥がす感じで物憂く意識が戻ってくる。家のドアの外に締切が設けられている用事があって、それをどうするか考えているうちにつらくなって逃げ込んだ物語世界がしゃれにならないつらい場所だった。そう、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』再々読。若いうちの、やや定まった終末が主人公たちに与えられた命ならば、現実のわたしには、若いとはいえず、原因も確定はしていないけれど、確実にやってくる死が用意されているというだけの違いだとまた噛みしめてみれば、それはそれで安堵できないものでもない。