ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

和泉かねよし『女王の花』第13巻

 この巻の冒頭、亜姫は曾国、黄国の助勢を得て、生母が毒殺され、父王も弑逆された母国との戦争に赴く。西方出身の商人を装ったインテリジェンスの人は去ったが、相愛の金髪碧眼の奴隷は毒の後遺症を抱えながら、亜姫から離れようとはしない。両親を殺した母国の現在の統治者・土妃の率いる軍との戦い。亜姫と土妃との相剋を亜国の大夫たちは息を殺しつつもどこか冷ややかに見守る。つまり、どちらが勝っても女というものに安定した統治が期待できるものかという内心を誰もが抱えているのだ。戦闘は亜姫らの側に有利に展開するようにみえたが、土妃は粘り強く計略を用いることによって、それまでこの壮大な継母と継娘のいがみ合いに巻き込まれることに消極的だった出身国である土国の参戦を引き出すことに成功した。途中で、金髪碧眼の奴隷が陣中にやってきた娼婦に「まるで襲われるように(※少女誌に連載されているのでこれは重要な細部。)」抱かれる。所詮、王族と奴隷だもの、触れ合うことすら許されないと諦めていた亜姫は、腕を絡め合う奴隷と娼婦を目の当たりにして傷つく、が、この話はさらっとしているので、このエピソードはそれほど引きずらない。/2月と8月に出る「女王の花」、5月と11月に出る「イシュタルの娘」、どちらもすてきな戦国ものだ。

 

女王の花 13 (フラワーコミックス)

女王の花 13 (フラワーコミックス)

 

 

 

イシュタルの娘~小野於通伝~(12) (BE LOVE KC)

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