ぴょん記

こつこつ憶える

『雲ながれゆく』

 ここにひとりの働く女性がいる。経営の才があるらしく、現在つとめている菓子舗でも製造ラインと営業の両方の従業員らから慕われ、また、前職のレストランからはそちらを辞めてまたうちに戻ってこないかと強く誘われている。その彼女が、ある夏の日、夕立に降られて雨宿りしたプレハブで求職中のホワイトカラーのような、いやなんとなくアスリートのようでもある男と気がついたら情交していたのだが、それが男のほうから強いられたものであるのかどうか肝心の彼女自身、よくわからない……。

 

 

雲ながれゆく (文春文庫)

雲ながれゆく (文春文庫)

 

 

 

 雲霧の流れで池波作品をKindleで落として読んでみた。女主人公は、こういうことがあったと書いたあとでやや説得力を欠くかもしれないけれど、十分に気の強いしっかり者で、口上がいちいちはきはきしていて読んでいて気持ちがいい。それで、どうしてこんなプレハブ小屋での椿事が出来してしまったのかという謎はおいおい解けていくので、おおよそ2時間の江戸たび、いかがでしょうか。花川戸、押上、若宮村、二之江、船堀川と、わたしにとってはずいぶん親しみのある地名がたくさん出てきました。