ぴょん記

こつこつ憶える

直視したくない仕事場の自分

 多かれ少なかれ誰でもそうだと思うけど、いわゆる「フロー」の状態に入ると、目の前の作業は、本人が後で驚くほどのスピードと精度で気持ちよく進む。ところで、わたしは、自分ひとりで済む用向きについては、たいていのことにはずうずうしくできているのだが、こと仕事に関しては、とても引っ込み思案で「しゃい」である。早い話が、つねに目の前の仕事を仕上げられる気がしていない。フジの月9のドラマのタイトルをもじった、「いつかこの伊賀越えを思い出してきっと泣いてしまう」というキャプションを添えられた、『真田丸』の息も絶え絶えな徳川家康の画像があるけれども、たいていそんな感じで机に向かっている。仕事も勉強も好きなはずなのに、どうしてだか、いつも心のなかは土砂降りである。「フロー」な時間は、なかなかやって来はしない。でも、たとえ泣きながらでも机に向かっていると、仕事はけっこう早めに終わる。仕事を終えて、台所の流しに立ったまま、冷えた中国茶で漬物の端切れを囓っているときが、いちばん自分を好きになれそうな時間である。