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ぴょん記

まじめにはたらく

幇間

 いわゆるたいこもちをなりわいとするようになった男の半生と、現況についての描写。宴席での座の取り持ちを行う幇間には、あたまの回転の速いこと、客の機嫌をいい方向にもっていくことに加え、芸達者であることが求められる。その点、この三平という名の幇間は、株屋であった前身よりもはるか以前、尋常小学校で神童と褒めそやされたころから寄席に通って噺家の語り口を熱心に聞いて覚えていたのだというから。自分を一段も二段も低いところに据えて、それでも周りの人が心の底から笑ってくれれば嬉しいという心性は、『春琴抄』の奉公人に繋がるところもないではないが、いかんせん全方位的だ。前世紀初頭くらいの話という。

 

図書カード:幇間