ぴょん記

こつこつ憶える

ヒトとの距離を測りかねる

 日本の中世に取材した小説やまんがなどみていると、かしこきあたりが廷臣の妻や娘と、あるいは、源氏方の武将が捕縛した平家の公達や姫たちと、ほとんどなんの手続も践まずに肉体的接触をもっている。一方、現代のこの社会でも、まったくの無料で合意の上で/はなから不同意のところ強引に/不承不承に、あるいは相当の対価を支払って、ヒトは触ったり触られたり触らせたり触らせられたりする。

 しかし、ともかく性欲の充足については、どうでもええがな。

 いい年をした大人が、ものがなしい思いに不意に襲われたとき、エロティック成分ほぼゼロのハグをどこかで得ることができるだろうか。30年前くらいのSFなら、どこかの惑星から招聘された、身体が大きくて毛むくじゃらで知性も感応力も飛び抜けて高い生物が、精神的にぼろぼろになったヒトを包み込んで理解して恢復させてくれたものだけど、たいていヒトは調子にのってそういう徳の高い生物を傷つけてしまう。じっさい、たとえば柔道整復の人でも人体に施術し続けていればすごく疲れるというし、カウンセラーにも定期的な専門的ケアがいりようだと聞く。きくといえば、このごろ「傾聴ボランティア」なる語をしばしば耳にする。この伝で、しばらくしたら、片面的フリーハグを内容とするハグボランティアも登場するのかしら。それとももしかしてすでに存在するのですか。

 

  阿刀田高の『江戸禁断らいぶらりぃ』を読んでいたのだけど、Kindleにないから、代わりにこれを。とはいえ、小さいときから阿刀田高を読んできて、いまだに彼の想定読者層が掴めぬ。