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ぴょん記

こつこつ憶える

猛暑の午後は気絶したように

 9日の火曜は暑かった。台風5号が太平洋上を北へ去った影響で呼び寄せられた西からの空気がフェーン現象を起こしたということで、気象庁のある都心よりは涼しいはずの観測点である江戸川臨海において、最高気温37.8℃を記録した。

 いま、わたしは、寒暖や乾湿について、以前より感覚が鈍くなっている。いくつかの病気と、加齢が重なった結果、総じて暑いとか寒いとか感じるのに時間がかかる。意識的に自分の世話をしないと、脱水症状を呈したり、感染症に罹ったりする。ゆえに、実際に暑さを感じる前に、自宅内避暑地点である机について、卓上扇の風で顔面を乾燥させながら、除湿された空気のなかで仕事に勤しんでいた。そう、ほそぼそとした作業を、それでも孜々として。

 正午前に一区切りついて、またぞろやってきた食欲を押しのけるほどの勢いの眠気とたたかい、ほぼ真っ暗な部屋で、冷蔵庫で保管している冷たいパンを切って、冷たいミルクジャムとブルーベリージャムを塗って自分の口に押し込んだ。なんとか咀嚼したあと、口を濯いで、そのままごろりと転がる。

 と、起き上がって、バスタブを洗いに立つ。洗濯の過程で、予洗と洗剤の入った本洗には風呂の残り湯をつかうので、うちの風呂はすぐ空の状態になる。そのままでいると、地震などで上水道に被害が及んだ場合に、トイレの水が流せないという事態に直面するので、バスタブにはなるべく容積の7割以上の水は湛えさせておくようにしているのだ。

 冷たい昼食を腹に収めてしかも眠いのに、バスタブを熱心に洗うというのも酔狂なものだが、家で作業をしている人間の日常にはありがちなことだ。ちょっと高尚なことをしたためたそのすぐあとに、ずいぶん尾籠な雑事も取り捌かざるを得ないし、心を切り替えるための小さな儀式が家にいるからといってつねに自儘に執り行えるわけでもない。午前中事務仕事で現金収入を得て、午後は畑で自家用の野菜を育ててそこそこ暮らしていければいいですねなどと、もう少し若いころは先輩たちと話していたけれど、その夢はかなわない。まだ、もう。

 バスタブを濯ぐ際、屋上の貯水タンクに引き揚げられていた水がほぼお湯になってシャワーから出てきた。これそのまま行水できるのと違うかと思いながら、バスタブに水を溜めて、而してわしは安心して寝たのじゃ。

 

 現在、16巻、出版されている「秘密」シリーズに出てくる各事件の骨子について解説した本。滝沢幹生(アスマン・イエル)の異母姉がチメンザール(旧ウイグル自治区)の内戦で亡くなったエピソードなどはすでに描かれているのかしらと思った。きっとあの一瞬あらわれて消えた、民族衣装のきれいな女の人ですよね。