ぴょん記

こつこつ憶える

初秋の読書

 昭和35年に実業之日本社から出版された山川三千子著『女官 明治宮中出仕の記』。林真理子の『ミカドの淑女』でも資料リストに入っていたと思う。明治天皇の最晩年からその后である昭憲皇太后崩御まで宮中に奉仕した華族出身の女官の覚書である。古書扱いで5kくらいしていたので図書館にもよう行かないわたしには読めない本かもと諦めていたら、講談社学術文庫に入っていて、しかもKindle版も提供されていた。

 

女官 明治宮中出仕の記 (講談社学術文庫)

女官 明治宮中出仕の記 (講談社学術文庫)

 

 

 山川操がフランス語を担当する御用掛として皇后宮に出仕していたところ、その養子である青年に京都育ちの著者が一目惚れして、宮中を退いたのちに彼と結婚したというところでこの記録は終わっている。山川操は、姉に双葉、兄に浩、弟に健次郎、妹に大山捨松という錚々たる人物を輩出した会津松平藩の家老であった山川家の出身であり、公家の庶子である著者とは出自だけみれば微妙な間柄ではある。それでも、明治日本という巨大な機構の中枢にあって、おたがいに、ミカドとその家庭を支えた精緻な歯車であったという認識から、この優秀な姑と闊達な嫁は案外仲良く暮らしたのではないか。

 

 

春は昔 ──徳川宗家に生まれて

春は昔 ──徳川宗家に生まれて

 

 

 これはまだ途中。『銀のボンボニエール』を著した秩父宮勢津子妃の嫂に当たる女性の回想記。とくになにか書いたりするための調べ物でもないけれど、こういういわば当事者が記した文章には一度は触れておかないと、記憶の叢が十分に茂らない。

 

 ひさしぶりに目だけでなく、脳もくたびれて、よく眠った。