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ぴょん記

まじめにはたらく

古い集合住宅を買うて住む

 

古い団地、200~300万円台で再販 ユニホー  :日本経済新聞

外殻がしっかりしているなら、内装を好きなようにして、老後に向けた小体な住まいにも仕上げられるのではないか。

2016/08/30 07:30

 

 ここで売られているのは、建設されてから40年以上が経過した、エレベーターのついていない、概ね5階建てまでの建物の各室だ。これを1戸あたり170万円から380万円で販売するという。築年数が古いため、例の新しい耐震基準などとの関係はどうかとも思うが、記事によると、仕入れた集合住宅はいずれも地震に強い「壁式構造」であるらしい。

 こういういわゆる中層階の集合住宅で住人が少なくなっている団地がたとえば千葉の津田沼周辺には幾つもあることだろう。「だろう」というのは、わたしが千葉の船橋から成田のあたりへ、本社から「いってこーい!!」と命じられれば鞄ひとつ抱えて飛んでいった前世紀の終わりぐらいには、すでにそれらの団地では住民の高齢化と空室の増加が問題になっていたからだ。そのときから十数年の時を経て、いったいそれぞれの団地はどうなっていることだろう。……案外、きれいにリノベーションされた部屋を目当てに、若い世代が入居していたりして。

 「その」団地の中に八百屋と魚屋と肉屋とパン屋があって、通りを渡れば、セブンイレブンモスバーガーが並んでいたとしたら、それだけでほぼ、わたしの家事と仕事の小さな毎日は充足するのだけど、たとえば千葉市内から月1回か2回、都心の大学病院まで朝早く通院するには、電車なら何時起きかしらタクシーならいったい片道おいくら千円かかるのかしらと、まず、ここで引っかかる。それから、もちろん家族の通勤の利便性も。

 

 それにつけても(やや強引に)思い出すのは、映画『マザーウォーター』で、もたいまさこさん演じる初老の女性が住まう小さなアパートメントだ。台所から何段か階段を上がったところに据えられた小さなテーブルと椅子、そこでもたいさんは自分ひとりのために調えた食事をゆっくりと召しあがる。そこからまた何段か階段があって、きっとそこには机と椅子にベッドが置かれているのだろう。まったくバリアフリーではなく、足腰が衰えたらきついような住まいだけど、もたいさんは映画上で再構成された架空の京都の町を銭湯の坊やを連れてぐるぐる回るくらい健脚なのでそこは平気。『金融腐食列島 呪縛』で、会社法専門弁護士を演じていたときのもたいさんもよかったけど、ゆっくり動きながら目を細めていろんなものをしっかり眺めている彼女もいい。

 

「マザーウォーター」 [DVD]

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 どうして女がこの種の映画や本を好むのか、卒論とはいわなくても、夏休みの自由研究ぐらいにはなるかもしれない。

 

 もしも京都の街中に小さな小さな部屋をもっていて、気が向いたら新幹線に乗って、その部屋で何週間か過ごしたりできたらそれはとてもすばらしいとは思うけど、それは今生では想像するだけにしておきましょう。ホテルも好きだし。

 

 と、ここで突然の熊本観光宣伝: