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ぴょん記

まじめにはたらく

病院内のセキュリティ

 

 ある大学医学部の附属病院に長期入院していた折のこと、午後早くに検査から戻ってくると、入院棟の清掃を請け負っている事業者の事務職員と研修中の清掃スタッフ(いずれも二十代の女性に見えた。)が、はしゃぎながら当時わたしがひとりで入っていた病室から出てくるところだった。事務職員が、「あ、やばっ。研修中なんですぅ。」と、だからどうだということばを口にしたので、はい、お疲れさまと答えたが、なにが「やばい」といって、そのふたりとも名札など身分を示すものを一切、外部に表示するかたちで身につけていないのだった。清掃の時間帯でもないのに、勝手に病室に入られたのもぜんぜん嬉しくはなかったが、それにもましていろいろ緩そうな部外者が棟内を闊歩しているのには不安な気持ちになった。のちに、ほかの清掃スタッフもほぼ一様に病院事務局から配布された名札(ごみ保管庫の電子キーを兼ねる。)を定められた箇所であるユニフォームの胸ポケットに付けていないのでその理由を尋ねると、名札の安全ピンやクリップを用いることでユニフォームが傷むから付けないのだというまったくもって納得しかねる説明だった。

 

 ことほどさように昼の病院もざわついてそれなりに不穏だが、これが深夜ともなると人の目が絶えて多くの死角が生まれ、悪意のまえにはとても脆い場所となる。四十数人の入院患者に対して、看護スタッフはその10分の1程度、保安のために病棟を閉め切るところもあれば非常口から外部者がたやすく侵入できるところもある。入院患者の多くは、疾病や外傷で身動きが取りにくかったり意識状態が思わしくなかったり。

 

 せめて来訪者やスタッフは名札をしっかり示して、とは思うのだけど、ネット上で『お世話になった看護師さんをツイッターで探さないで下さい。』の理由、というのを見てしまうと、さすがに外来棟で立ち働く病院ボランティアさんまではねえと悩ましいところである。