ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

天冥の標Ⅸ PART2

 

 

 この物語世界では、西暦2500年ごろ、太陽系社会において致命的な大戦争が勃発し、人類の殆どが死に絶えてしまう。それから300年が経過し、惑星「ハーブC」に移住した人類の末裔は200万人まで増えて、かつての科学技術の水準は失われたが、それでもまあまあ文化的な暮らしぶりを維持していた、はずだった。

 荒廃した太陽系を遠く離れた惑星「ハーブC」が、じつは太陽系に属する小惑星の一つの内部世界に過ぎず、星の海を渡って築いた楽園というフィクションを現実として維持するための規律で、植民社会の内圧はすでに限界にまで高まっていた。そこへ襲来する異形の者たち。そしてまた明かされる、小惑星はその内腔にささやかな彼らの国を抱えたまま、ものすごいスピードで敵地へ突っ込んでいこうとしているという事実。人類「たち」は銀河の辺縁に生きるべき地を確保することができるのか、それから、「石工」の雄は、運命の「女王」に番えることができるのか。

 『天冥の標』Ⅹは、ⅨPART2の帯によれば、2018年刊行、巻数未定、最終巻まで連続リリース、とのこと。