ぴょん記

こつこつ憶える

そろばんをはじく暁のゆび

 明け方、ぼんやりと目が覚める。眠りに落ちるまで眺めていたiPadの待ち受け画面で時刻を確認し、平日ならば起床予定時刻まであと何分かと計算し、休日だったら布団をかぶりなおして寝る。この季節は、エアコンも熱源も要らない。汗も乾燥も気にせずに何時間でも寝ていられる。望んでいたのに手に入られなかったたくさんのもの、期待することすら許されなかったもっと多くのもの、そういうものが遠い銀河の燦めきのように、かつて自分の眼裏には映っていたような朧気な記憶がある。だけど、なんだかぼんやりしている。それは本当に自分にとって実在していたのか。在るにせよないにせよ、自分がこの生命の終わりまでの時間を掛けて、結局、手にすることができないのだとしたら、それについて考えるだけ時間の無駄というものではないかと、意識が半ば以上あちらの世界に浸かっているとき、わたしというものはなかなかに計算高い。

 

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藤沢周平 映画作品あれこれ 「隠し剣 鬼の爪」庄内ロケ風景7|荘内日報社