読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ぴょん記

こつこつ憶える

フィジカルに懇ろに

 週に6日ほど、予備校とか家庭教師とかとにかく家から出ては外で働き、午後も遅くなってから帰宅する生活を送っていたころのこと。生徒さんとわいわい話してそれなりに頭も使い、疲れもするがそれがそのまま睡眠に結びつかない昂奮を冷ますために、中休みや帰りがけにかなり適当に選んだ本を買っていた。その単行本は、フランス語からの翻訳で、ひとりの女性の、12歳くらいから30歳くらいに掛けての自伝の形式をとっていたが、そのほとんどが彼女の経験した交接についてのメモワールだった。相手が大好きだから、その相手に喜びを与えるために自分の身体を提供する……のではなく、相手の身体から自らの快楽を収穫するために、彼女は積極的にそのための状況に飛び込んでいく。なにしろ、欲するものが、金でも相手の愛情でもなく、純粋に自分の感覚の満足なのだから、後腐れがない。心的外傷の結果としてしばしば行われるという性的逸脱というわけでもなく、彼女は実に自然に、進んで異性と、ときには同性も交えて、ベッドに入るし、ベッドでないところでも同じような行為に耽る。参加者がみんな自分の責任で同意できる大人で、禁制薬物を用いたり、その他、法に触れたりしなければ、こういうのもありかもしれないとは思った(でも、早晩厭きることだろう。)。そして、その全ページ笑い絵のような本は、現在、うちの本棚の中でもう何年も行方不明である。書名も、忘れた。

f:id:e_pyonpyon21:20161124165534j:plain