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ぴょん記

まじめにはたらく

褻の食

 ずっと砂糖の在庫が乏しかったので、なかなかぜんざいのようにたくさん砂糖を遣うものに手が出せなかった。ネットスーパーで買えばすぐ届くのだが、煮物にもみりんを少し加えるぐらいで砂糖は必需品というわけではないので優先順位が低く、やっと食品宅配で匂いのきつめの喜界島の黍糖が届いたころには暦が春になっていた。京都のホテルでは、朝食のブッフェを出すダイニングがそのまま昼、夜とも内容と料金を変えながら「たべほうだい」のサービスを続けるようになっていた。そのテーブルに飲み物リストと一緒に「ぜんざい」の小さな案内が置かれていて、ひと椀が1200円だか1500円だかというので家族が驚いていた。ホテルの飲食店の場合、飲食代金を高めに設定することで障壁を設け、利用者にある種の快適さを提供するような考え方が採られることもあるのかなと考えた。そのホテルの上のほうには、特定の客室の利用者しか入れないラウンジがあるらしいけれど、わたしは写真でしかみたことがない。なぜならその特定の客室は十分さを超えて広く、そして高価であるから、そこへは宿泊したことがなく、だからそのラウンジにもわたしは足を踏み入れたことがないのだ。そういうことを考えながら、味とカロリーはたっぷりとした余寒のぜんざいをしずかに啜った。