海外のSFで、列車事故で瀕死の重傷を負った夫の生命保険が、彼のクローンを育てる費用まではカバーするけれどもその間に彼の脳を外部で保管するコストは自己負担です、と告げられた妻の選択とその後の日々について描いた作品がある。手っ取り早くいうと、妻は、クローンが大人の大きさに育つまでの2年間ほどの間、夫の脳を自分の子宮に収めて生かしておく。
いうまでもなく、生物の雌らがもっている子宮は仔を育むためのもので、夫とはいえ他人の脳や、ましてや異生物の胎児を戦うために抱えることを目的とはしていない、のだが。
全5巻を2回通して読んで、「大きなお腹を抱えた若い女たち」が目の前の危難や漠然とした不安に擂り潰されそうになりながら、しかし、その宿命に正対するこの話は、さまざまな読まれかたの可能性をもっていると思った。ただし、とっかかりは少し難しかった。
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