ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

関わる程度の加減

 一昨日であったかネットで見掛けたのは、40代はじめのころの女性が、客として知り合った20代の会社員の男性に数日間で約80通のメールを送信したとして、ストーカー行為を行った容疑で送検されたというもの。数日間のメールの通数としては多いものの、はたしてそれだけで送検されるものかと思って他のソースもちらほら読んでいたら、この容疑者は同一被害者に対して約4年にわたって、ほぼ一方的に接近していたという。

 これについて、はてなブックマークなどでは、「自分も気を付けよう。」とか、「はたして全国的に容疑者の映像を晒すべき案件なのか。」という主旨のコメントもみられた。かつてのように、容疑者の容姿を含めた存在そのものを貶めるものはむしろ少なかった。ところで、わたしがとくに気を留めたのは、容疑者が客、被害者が物品の販売又は役務の提供を行う人だとして、このふたりがお互いを知り合った点で、それはきっと携帯電話に多量に送付される電子メールを被害者がブロックすることもなく、延々と受け取り続けてきた理由に繋がるものなのだ。数年間繰り返された容疑者による接近については、おそらくこの被害者も勤務先の上司や同僚に状況を説明し、取るべき態度について相談を行っているとは思う。そこで勤務先のある程度の権限のある人が、君ね、そうはいうけれども先方はうちの大切なお客さんなんだから、そこはなんとかうまくやって機嫌を損ねないでよ、などといっていたとしたら、これはいくら被害者が男性であるからといっても、昨今では立派な労働案件になる。

 さて。これとは別に、エスカレートして暴走するとこんな「事件」になるけれども、自分に親しく迫ってくる相手の態度は本当は迷惑、あるいは逆に、自分が親しくしてもよいと思って遣り取りをしている相手にとって実のところ自分は頭痛の種、という事例は、きっと日常的にそこいらにごろごろ転がっている。わたしも、相手の反応の冷たさに思わず心が凍りつく心地を味わったあとで、もしかこちらがなかよしだと錯覚していただけなのかと気付いて、すっと楽になることがある。といっても、無用の摩擦を生じさせないために、それを相手に伝えることはないけれど。ともかくこうなってくると、「引き際学」とか、「身を引く所作」について、誰かが論考を発表する時期がきているのでは。

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古市庵さんのスタンプでいただいた魔法瓶にコーヒーを。