ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

転んだ、公道で

 その瞬間、もう駄目だと思った。横断歩道を渡った直後の、ほんの数センチ高くなっている地面を爪先が掴みきれなくて、前のめりに倒れた。家を出る前、自分の身体が右側に傾いで感じられたのは錯覚じゃなかった。

 躓いたほうの右脚、脹ら脛の筋肉が、せめてわたしが責任をとりますとでもいうかのように無理な具合に伸びた。ここを伸ばしすぎると脚が攣ることが多いので、そんな義理立てはやめて!と叫ぶような絶望を覚えつつ、右胸から地面に落ちた。痛い。それ以上に、情けない。

 しばらくは動けなかった。路肩に腹這いになって、それからそろそろと両膝をつかって起き上がり、目の前のマンションの植栽のブロックに腰を下ろす。分厚いセーター、薄いけれども丈夫なズボン、しっかりした靴下を身につけていたおかげで、打撲はあるけれど生傷負うのは免れた。

 時刻は朝5時。始発前の凍てついた駅へ続く道に人影はない。

 ああ、びっくりした。

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カモフラタイツ