ぴょん記

上古文学、外国語、数学、調理、編みもの、縫いもの、競争法

肉食のなれの果て

 ふだん牛肉を殆ど買わないのに、週明けに冷蔵庫に約300gのオーストラリア産牛肉の塊が3個もあった。1個は、金曜日にローストビーフを作ろうとして買い求め、もう2個は、土曜日にかなり安価だったので、同じくローストビーフにしようとして取り寄せたものだ。つまり、3個とも、いずれローストビーフに化ける運命だったのだが、週末の暑さで、小なりといえども肉の塊を掴んで塩と胡椒を擦り込む元気、短時間でも高温で焼く勇気、そして、可能な限り薄く削ぐ根気が、まったくきれいに奪われていたために、そのまま火曜日を迎えたのだった。

 火曜は、そのうち2つを使ってローストビーフを焼いた。塩と胡椒を擦り込み、焼き、丁寧にカットした。だが、漬け込みと焼き付けで、相当量の水分が失われたにもかかわらず、中年者らは、正味500gを割り込むローストビーフの半分ほどをやっと白めしのおかずとして食べたにすぎなかった。もうね、年をとると、目が食べたいと望んでも、箸が進まないの。ビールも、冷蔵庫に冷やしておいて、そのうち飲もうと思うだけで、8割方、心は充足されているから。

 ローストビーフの残りは、水曜の朝に、両面焼いたパンに挟んで食べた。そこでもまた余りが出た。

 

BRUTUS (ブルータス) 2018年 8月1日号 No.874 [LIFE IS PARK!] [雑誌]

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