小川一水の『天冥の標』における、斑紋をもつ一族の裔と、ハネをもつ生体群との関係にも似て、遠藤淑子『プラネット』では、特殊な遺伝子をもつヒト「リース」をアンドロイドの集団が護っている。
護られる者は寡なく、また、弱い。護る者も数少なではあるが、とりあえず環境に適応して外敵からの攻撃から護られる者を庇う能力は持ち合わせている。そうでなければ、物語は、始まらないし、また、続きもしない。
『天冥の標』は、シリーズ冒頭の「メニー・メニー・シープ」の成立について種明かしをし(というより、遅くともどこかの巻末についていた年表が出た時点で皆、事情を察していたことだろう。)、いよいよ結末に向かって再始動しようとしている、たぶん。
天冥の標?: 羊と猿と百掬(ひゃっきく)の銀河 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 小川一水
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: 文庫
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途中、「機械じかけの子息たち」のあたりで、はたして自分が終わりまで読み続けられるのか、さすがに自信がなくなってきたことをいまのうちに自白しておく。ページに溢れるある種の表現が、いったい作品に必要的なエロティシズムなのかあるいはそうでないのか、読んでいるうちにときどきわからなくなってしまったのだ。