彼岸が近くなり、朝日が台所のかなり奥のほうまで差し込むようになった。5時前に一旦起きて顔を洗い、水をのんだあと、また横になる。このとき、寝床に戻らずに、机に向かって作業の続きなり新聞読みなりすればいいのに(以前はそうしていた。)、目を閉じているほうが楽になってからはさっさとベッドに潜り込む生物と化してしまった。
目覚める直前と直後、ひやりとした厭な感じを味わう。寂しく、つらく、悲しい、なまの思いだ。余計なことばでコーティングされていないその思いは、つねに恐怖に伴われてやってくる。覚醒している間、サビシイ、ツライ、カナシイを、しみじみと意識しているいとまはない。そんな余裕があったら逃げる仕度をしなければ。だから、ねぼけた頭にオソロシイが居座るときこそ、心がサビシイ、ツライ、カナシイをじっくりと玩味しているのだろう。