世の中はおしなべて慌ただしいのだろうが、肺の能力が下向かないように心掛けておとなしくしている。古今和歌集の春の歌など眺めては、梅の香りはそれほどまでに強く大宮人の官能を刺戟したものだろうかもしや『梅の花はよい香り、春を謳うもの』という誇張された幻想を共有していたのではないかなどと呟いては、いや梅の花は実際に印象的な芳香を伴っているものだといわれたりなどしている。近世の広々とした梅園などではなく、貴族の庭に植えられた梅であっても、そうだったの、菅公?
この作家さんのお描きになるのは、いまのところ、パンデミックと疫学的調査の話が多いみたい。