ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

いのちを語る漫画

 朱戸アオ『リウーを待ちながら』第3巻が発売されて、同作は完結した。富士山の麓、横走市という架空の自治体で、サルモネラ菌によりより厄介な性質をしょわされたペスト菌アウトブレイクする。市内への出入りは制限され、医療者らの奮闘も空しく、死亡率100パーセントのまま、8月に始まった伝染は年を越しても続く。

 

リウーを待ちながら(3) (イブニングコミックス)

リウーを待ちながら(3) (イブニングコミックス)

 

 

 

  ナガテユカ『ギフト±』は、第11巻がリリース。臓器売買という前世紀から人類が引きずってきた問題に、あらたに再生医療の可能性という要素が加わる。対価が介在せずに、それによって失われる命がなく、善意による、しかも公正なやりとりであれば、臓器のやりとりは許されるのか。また、たとえば、カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』の作中にあるように、ヒトであるけれどもヒトではない、「提供者」たちから合法に受け取る臓器は、はたして真に「合法」に受け取られるものなのか。『ギフト±』を読み始めたころは、この荒唐無稽な話の落ち着く先は奈辺にと首を捻ることしきりだったが、このごろは製作者側のいいたいことがなんとなくわかるような気さえしてきた。そのあとはいつもとても悲しくなる。

 

ギフト± 11

ギフト± 11