ぴょん記

食べる、遊ぶ、学ぶ。

再録:ブログくらいがちょうどいい

 2012年8月14日

 

 

 実名ではないけれども顕名で細々と続けていたブログの存在を同窓生に知られたのはいいとしても、その記載内容をわたしの実名と結びつけて話の種にされるのは、しょうじき堪忍して、ということはあった。しかし、そういうのは、オープンではないSNSなどの個人スペースに綴られた秘密の保持に伴う心理的重圧に比べれば、ほとんどたいしたことはない。


 氏名、住所、性別、生年月日の基本四情報をはじめとして、わたしたちは、たくさんの自分に関する情報をネットの内外に毎日好むと好まざるとにかかわらず撒き散らしている。このごろでは、「おおきなじょうほうのかたまり」の価値が喧伝されるあまり、はずかしい映像データのレンタルサービスも行う、いち私企業が、棒をブラウザのなかに生えさせたがっているらしい。たとえばわたしは、日本経済新聞の定期購読者であるが、それを含めておのれの読むもの観るもの欲望まみれではずかしいと自覚しているので、さいきんは景品ほしさに出していたアンケートにもおちおち応募できない。なぜなら、官製はがきを用いて応募していたときよりも、ウェブページでの応募となると、かなり立ち入ったことまで聞かれるからだ。


 はたして、ひとは、「おおきなじょうほうのかたまり」の形成に、まっすぐに貢献すべきなのだろうか。らでぃっしゅぼーやの一部門があらたに「らでぃっしゅローソン」に切り替わった際、たぬきのIDを取らなければいけなくなって、そのカードを作成。じゃが、最寄りの3店舗のローソンのうちの1店舗で、別に混んでもいないのに、こちらが金の出し入れをしている最中に、「カードをお返しします。……お返しします、しますっ。」とたぬきのカードを突き返してきた若い女の店員がいて、厭になった。人をみて態度を変えるのは人間の常だけど、あまりにあからさまだったので。以後、たぬきのカードはもっていても出さない。「らでぃっしゅローソン」のサービスを利用するために手元には置いているが、ポイントという名のはしたがねと引き替えにローソンで自分の買ったものと個人情報を結びつけるデータを提供したりはしない。だいいち、またカードを早く引き取れとせかされると不愉快なので。


 無機的な企業体に個人情報を手渡すことについては、なにごとにも脇の甘いわたしでさえ、ことほどさように冷淡になれる。それなのに、どこか人の情味が感じられ、ある程度の感情のやりとりがあったと確信するSNSの、適度に湿ったやや薄暗い場所では、なにごとか重いことをやや無防備に書き出してしまう。5年前の夏に2年間続けてやめたオレンジのSNSがそんな感じで、日常的にやりとりをしていた何人かの「フレンド」とは、そのあとしばらくして連絡が途絶えたが、それはしかたがない。その場所で知り合い、そこをベースにいくらかの時間を共有していたのをその場をこちらが去ることで解消するわけだから、その後も同じようにつきあうためには、なにか特別な要素がないといけない。共通の関心とか、同じ出身校とか、5代前の先祖が同じとか、そういうのはなかった。


 自分についての「なにか大切なこと」を書いて、他の人の「ちょっとした秘密」を読んで、軽く心理的に引っ掻き合って、凭れたり押し返したり、そういうのって、幾つで退役できるの。おたがいの秘密を共有して、そこにいない誰かをからかって、昔を懐かしみ、肩こりをいたわり合い、あなたは悪くないと、これから何千日続けて、やがてみえてくる地平には、どんな色の風船が漂っているというの。


 ト、以上は、わたし個人が現在、Twitter以外のSNSに参加していない理由。 

  ……いつのまにか、ツイッターもほとんどやめてしまったよう。

 

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