また、『万引き家族』のことを。8日から全国公開です。
見出しだけで善悪を判断する人たちと『万引き家族』 - 破壊屋ブログ
2日に先行上映を観てまいりましたが、『万引き家族』、映画館、ネット配信、レンタルDVD、いずれは地上波や衛星放送等、1度でいいので、ぜひご覧下さい。わたしたちは、浮いたり沈んだりする、ただの人間です。
2018/06/06 09:31
あれほど正面から社会問題に迫っているにもかかわらず、叙情的でせつないこの映画のことを、「わが国には窃盗をなりわいとして家族を養うような文化は存在しないのに、あたかもそういう人々が国中にいるかのような誤解を諸外国の人に対して与えかねない。」という理由で非難する人がいるという。たぶん、まだ映画を観ていないにもかかわらず。
その心配は、まさしく杞憂というもので、映画を観たなら、外国の人でも、この家族の暮らしぶりが現代の一般的な日本人の生活とはかなり離れていることにたやすく気付くに違いない。衣食住からそれぞれの表情、ことばとことばの間合い、布団の敷き方まで、すべて監督とスタッフサイド、そしてキャストのひとりひとりが考えた理由がある(と思う。)。国の恥どころか、平成のほとんど末年、2010年代も終わろうとするころ、フィクションに仮託することでかえってここまで正直に、自分たちの社会が抱える苦しさや涙を(安藤サクラはとうとう噎ぶことはなかったけれど。)、描き出せたことは、たとえカンヌでパルムドールやその他の賞を得られなかったとしても、映像表現の世界での大きな収穫とされてよいだろう。それなのに。