ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

救済なき闇の深淵に生まれいずるもの

 「公爵は王の毛布から生まれる」として、爵位をもつ者の正式な配偶者ではない女性から生まれた子らにも地位と財産を与えて命脈を保ってきたイギリスの貴族社会。それならばこういう一族もあり得たかもしれないとして描かれるロウランド家については、あのダウントン・アビーの1世代か2世代前の話にすぎないのにと、その陰惨さに驚くが、暗いものがたりの魅力には逆らいがたいものを禁じ得ない。

 

 マナー・ハウスの中には、使用人専用の階段や廊下があって、従僕やメイドたちは、雇い主の許可なく表廊下に現れることは許されなかったというのがほんの100年前には生きた約束としてあったという。日本でも封建時代のある藩では、雨でも上士の前では傘や下駄を使ってはいけないという規律があった。そういうルールをもつことがはたして文明の証といえるのだろうか。