先週の末に観た映画の影響で、チャールズ・ラムらの著作を探して、アマゾンで状態のよい古本を手に入れた。正式には、アマゾンマーケットプレイスというようだ。
このごろアマゾンの古本は、どこの出品者も申し合わせたようにつるつるした防水袋にパウチされて届く。以前は、ビニール袋で一旦包んで、それから茶封筒だったけどいまは防水袋一重だ。簡易でいい。それに古本は、階下のメールボックスにいつのまにか投函されるので、配達の人を待つ必要がないところも、よい。
マガジンハウスの「クウネル」が、数ヶ月の休刊ののち、誌名は変わらぬまま残念なリニューアルをしてしまったのが数年前。あえて「残念な」と付けるのは、編集人以下の皆さんに失礼だろうが、わたしは愛読誌をひとつ奪われた立場なので大目にみてほしい。そのいっときの休刊前まで「クウネル」の巻末近くに毎号載っていた短編など集めた単行本。こちらもアマゾンの古本で、驚きのお値段で買えた。いまだKindle化されていない。
これに載っている話かなあと思っていたら違っていた、ひとつの寓話。そもそも川上さんの作品かどうかもあやしい。だいたい、こういう話。「深い深い森の中に灯台がひとつあって、灯台守の夫婦が住んでいる。夫は老いて大柄で無口、妻はまだ少女といってもよい年頃。ときどき無人機が生活必需品の入った小包を落としていく。人との交流は殆どない。夫は病気にかかって死ぬ。妻はひとりで灯台を守る。やがて妻も死ぬ。新しい灯台守の青年がやってくる。」という、文明終了後の人類史エピソードのような。漫画だったかもしれない。われながら、うろおぼえにもほどがある。
この作品の文庫が出るとは。これは、手に入れなければ。