ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『フッド:ザ・ビギニング』

 時代考証一般(特に、登場人物の衣服。)を、あえて重んじていません、という開き直りを堂々と前面に出したドラマ作りで、この傾向は、NHKで夜遅くに放送していた『クイーン・メアリー 愛と欲望の王宮』の王妃や王太子妃、その侍女たちの衣装でも顕著だった。メアリーや侍女たちの衣装のデザインは、アメリカの女子高生や女子大生などがきれいめに着飾ってショッピングモール以上の楽しい場所に繰り出すときに着たい、と思う服の、裾を床まで引き延ばしたものだった。日本の時代劇にも、江戸時代であればどの時期でも武家の女でなければ黒繻子の半襟を掛けているような不思議な「習慣」があるけれど。また、十字軍の時代のイングランドであるにもかかわらず、出席者皆が仮装した夜会という爛熟の風俗が観られるのも、新鮮を通り越して珍奇すぎた。これは、わたしの頭が古いというのもあるし、入り口を間違えたというのもある。映画の始まる前の別の映画の予告編のラインナップがかなり若い人向きだったことで、そこが自分がいる場所ではないことに気付くべきだった。

 はっきりと場違いなのに気が付いたのは、映画の冒頭に出てきたヒロインのアイラインが現代風に入念に上下に塗り込まれているのをみたときだった。

 クレジットで、見慣れない符号のついた名前が連続したので、帰って調べてみたら、クロアチアの古い建物を利用したロケを行っていた。領民や鉱山にいた大勢の人もきっと現地の人だったのだろう。

hood-movie.jp

 わたしが間違えたというだけで、映画全体が駄作だったというわけではない。

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みかんの季節