ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『歪んだ波紋』

 淡々と、横浜の地方紙記者の日常を点描するようにして、ものがたりは始まる。亡父は全国紙の記者、大学からの友人も同じ経歴を経ていまはネットニュースを主宰しているけれども、主人公は地域の人々の生活に寄り添うべく、小さな事故、事件の報道も丁寧さを心懸けていた。それにもかかわらず、彼は、過ちを犯し、交通事故遺族の、まだ若い妊婦でもある女性の生活を破綻の際まで追い詰めてしまう。

 また、主人公の亡父のふたりの親友、全国紙の記者を定年退職した初老の男性たちにも転機が訪れる。かつて、人公と同じく、誤報である女性教師の職を失わせた老人は、病を抱えながら贖罪のために彼女に近付く。その彼を利用しようとする闇の力が働き、もうひとりの老人が事件の解明のために動き出す。若い地方紙記者と、亡父の親友。ふたりが調査報道の価値について自問自答を繰り返しながらそれぞれの抱える問題に取り組む。

 そのふたりの世代の真ん中にいる元記者は、かつて新聞の記事が原因で居場所を奪われた医師である父親をもつ。彼は、度々、過失又は故意で、職業上、してはいけないことをしてしまう。それはなぜなのか。そして、彼は、いったいどこへ向かうのか。

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歪んだ波紋

歪んだ波紋

 

  わたしは、原作は未読だけど、ドラマは有料のNHKオンデマンドで観てもいいくらいよい仕上がりだったと思います。