ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

老いたるおばたちを悼む

 先日、厳密には伯母叔母ではない、「おばさん」について書いた。そのうちのふたりが、一週間のうちに亡くなってしまった。いずれもとても若いという年齢ではないものの、少なくともこの正月までは、身体に不調を抱えつつもなんとか買いものに出掛けたり食事を調えたりしていたという。それなのに、わりと急速に衰えて亡くなってしまった。

 紙の日記に、それぞれの「おばさん」の思い出を綴る。あのときこういって慰めてくれたとか、きれいな万年筆を贈ってくれてうれしかったとか、本人さえ忘れていたというような小さなことでも不思議とわたしの記憶には残っていることがある。

 ふたりの死因は、COVID-19に感染しての病によるものではない。ただ、この時期のことであるから、それぞれの葬儀は、厳密な意味での家族葬であり、供花の類いも謝絶された。お包みを実家の者に託して、遠いところから胸の中でお別れを述べるのみである。生者のみならず、死者さえも隔てられて見送らねばならない。この索漠をどう紛らわせばいいものか。

 

往生要集 全現代語訳 (講談社学術文庫)

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