ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『鎌倉殿の13人』第4回

 四郎時政以下の北条勢を中核とした武人たちは、三嶋大社の祭りの夜、目代後見堤氏の館に押し寄せた。目代山木氏の屋敷にもそれ相応の人数は割かれていたことであろう。味方の人数が四捨五入して30人程度だろうと300人程度であろうと、相手の不意を衝く夜討ちである限り、勝機はまったくないとはいえない。とはいいながら、当然眠れぬ居待ち月の夜を政子の膝枕で過ごす頼朝は、蹶起の旗印であるからには、まったく生きた心地がしなかったことであろう。

 今回のはじめ、青みを帯びた水指か花入れかなにかの細長い壺に、何十本かの神籤を挿したのを牧の方が恭しげに頼朝に捧げる。蹶起の日取りを占うための仕掛けなのだが、当然、そこに神意を探って見出したそれに素直に従うという素朴な心の動きばかりがあったわけはない。平安末期の伊豆の夜、土民の聚落、少し大きめの武家の館、月のない夜にはどこもここも墨を流したような漆黒で、矢を射かけるにしても至近で斬り合うにしても、いくら伊豆の武人たちの視力がよかろうとも自ずと限界がある。自然的人為的な条件を詰めていくと、葉月拾七日、月明かりが皓々として祭りで使用人が出払った夜がいちばんよいということになる。

 ところで、北条館の狩野川を挟んだお隣、江間の館で暮らす、八重さんと江間氏。頼朝との仲を裂かれて子を奪われた伊東の息女と、もとは家人のカップルは、頼朝が長い雌伏のときを終えるにあたって、それぞれに激しく揺れる。切ない。