日曜日の正午前にCOVID-19の3回目のワクチン接種を終えたあと、やり場がなく、また名前を与えようもないが、しかし、そこに確固としてある大きな負の感情をとも連れにして、雨の郊外をほんの少しぶらついた。わたしは、かなり年をとっているので、こういう嵩の高いマイナスは、値の張る買いものでもお祭り騒ぎでもややきつい運動でも、それほど手早くは解消しないことをこと自分に関する限りは知っている。余人はどうあれ、わたしは、明確なトリガーのない気塞ぎに陥ることがままあり、そういうときは、あまりうろうろせずにある程度の時間が経過するのを待つ。わりと軽い落ち込みなら、待つのが一番である。
自分がしていいのは、ワクチンを打たれに出かけて帰宅するまでのごく短時間の気儘な外歩きがせいぜいで、それもだれに禁じられたわけではないけれど、雨で路面は湿って転びやすくなり、視界が閉ざされてすぐそばの案内板さえ見えないような日は、さっさと帰宅したほうがいいのである。自転車も車の運転も、とっくの昔に諦めた。
月曜日は、副反応か冷えてもらった風邪なのかわからない感じで一日寝ていた。TOKYO VICEというタイトルのHBOの関連会社とWOWOWが一緒に配信しているドラマの第3話から第6話までのネット配信分も自分の寝床で1回、家のテレビで1回鑑賞した。主人公ジェイクの明調新聞社の同期のふたり、いかにも新卒で大きなマスコミに就職しそうなタイプである。社会部サブキャップの丸山絵美さんを演じる菊地凛子さんはきびきびして見ていて気持ちがいいが、社会部デスクの豊原功補さんの役名が「莫」さんで、しきりにジェイクをガイジン呼ばわりしているのには、ちょっとだけ違和感だ。