ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『鎌倉殿の13人』第43回

 頼家の遺児のひとりである、公暁が鎌倉に帰ってきた。ちなみに、公暁の母を異にする姉妹に竹御所鞠子がおり、のちに都から呼ばれた四代将軍頼経のずいぶん年上の奥さんに配されたけれども、お産で母子ともに命を落としてしまったそうだ。

 公暁を演じる寛一郎さんは、もとより佐藤浩市さんそっくりで、しかも、美青年だ。同じ路線の佐藤浩市さんを美青年とかつて感じたことがなかったのは、佐藤さんがわたしよりも若干年上で、気がついたときには、すでに、たとえば『ホワイトアウト』のテロリストの首魁のような大きな役を演じる俳優さんになっていたからだ。わたしにとって、佐藤さんは、はじめから偉くて強くて格好いい俳優さんだった。

 それはさておき、今回の三浦義村の暗躍は、かねて彼が心に期して、しかも秘め続けてきた北条への反感のなせる業か、はたまた義時と意を通じての、育ての君の公暁を犠牲にした反逆分子の炙り出し工作かと、にわかには判じがたいところがあった。

 京から鎌倉に帰還してすぐに始められた公暁の千日参籠は、ほかの御家人連中と公暁との往来を遮断する意味でも、公暁の動きを社会の目から隠す目的からも、いかにも有効であったろう。同時に、長期のお籠もり中であるという理由で、公暁の自由な行動を封じることもできるから、義時と三浦が裏で結託していれば、千日という長い時間を稼ぎ出すことができる。

 それは、いったいなんのための時間か。泰時が、義時のなりたかったけれどなれなかった執権に近づき、つくりたかったけどつくれなかった幕府を築くための準備のための時間ではなかろうか。