ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『鎌倉殿の13人』最終回

 伊賀の方と呼ばれる「のえ」を演じる菊地凛子さん。実生活では、染谷将太さんの奥さんである。その染谷将太さんが織田信長を演じたのが、2020年の大河ドラマ麒麟がくる』で、劇中、信長は自分に毒酒白山の霊水と称する何かを勧めようとした弟にそれを飲むことを強い、弟は当然それを拒むけれど、結局、信長の手の者に暗殺されてしまう。

 今回、義時は、薬師が「麻の毒」と判断した毒をのえの依頼により入手し、提供した三浦義村に対し、その毒が入っているかのようにみえる酒を勧める。義村は再三それを辞退するが、病みついたとはいえ、執権の屋敷内であり、どこに武装した兵が隠れているかわからないからかとうとうそれを飲み下してしまう。そこから即座に義村は四肢が自分の思うようにならず、呂律も回らない症状を呈するのだが、それは、義時が義村に与えた罰の一種だった。

 古来、権力者は不老不死を願いがちであり、また、敵を斃すのにしばしば毒を用いた。だから、人間の身体に通じ、植物系や動物系、さらには金属に通じた薬師は、権力側によって護られてきた。医学の進歩のために、人体や他の動物を用いて外科技術を高め、薬効を確認する作業は欠かせなかっただろうが、ことに戦時において医療技術が飛躍的に進歩したことをわたしたちは心に留めておくべきだろう。

 鎌倉殿の最終回に話を戻すと、のえの産んだ義時の子の中では長子である政村は、のちに執権や連署を務めている。紆余曲折はあっても、結局、政権内部にとどまり続けたわけで、だから、伊賀の方が義村と同じ墓に眠る現在があるのかもしれない。