例年なら、7月か8月に予約しておいたホテルに泊まって美術館や博物館を回るために、2月に数日の旅に出ていた。出掛ける前日か前々日にクロネコヤマトさんで着替えなどをホテル宛てに送り出し、当日は、自分たちはけっこう朝早い新幹線に乗るべく家を出る。
まずは、ホテルに泊まって、目覚めたあと、朝ごはんをゆっくりととって、美術館へ行く。途中でコーヒーを飲んだり、買物をしたりして、時間が過ぎるのを楽しむ。主たる滞在地を遠く離れて、昼食を広島のお好み焼きにしたりすることもある。お好み焼きは1回しか食べていないが、うどんなら丸亀や高松で食べた。なんでも想像以上においしいものだった。
今年、この2月には、旅には出ない。相生の牡蠣を春雨や豚バラ肉の入る鍋に仕立てて味わったり、春分に向かう日の長くなり具合を確かめたり、小さいけれど味のしっかりしたお菓子を味わったりする。2015年の秋から2022年の秋まで、7年間、よく出掛けたと思う。中距離の移動を伴う旅はこれからも続くけれど、それは、観光ではなくたとえば家産管理の側面の強い、いわば実務の旅だ。といえば、聞こえはいいけれど、収益を増やすためではなく、経費を圧縮するための算段に終始する守りの作業ばかりで。
上野動物園のお嬢さんパンダに、アドベンチャーワールドのお父さんパンダに2頭のお嬢さんパンダが中華人民共和国に「戻る」。お別れになる日本での最後の展示に、涙ぐむファンの皆さんの映像がテレビで流れた。姿かたちが人間とは少し異なるなかまのように感じていたけれど、パンダは計画的に繁殖していくことで生体を次代に残すような希少な存在だったのだ。
戻った先の中国でも、大切に愛されてほしい。