ここに、なぜか親から愛されずに育ったという自覚をもつ子がいるとしよう。かれは、また、当の親がかれにその自覚のあることを知っていることを知っている。かれが親をどう思っているかは一旦は措くとして、親とかれとの間には、ひややかな空気が流れている。清涼なのではない、じんわりと湿って、それでいて骨まで凍えさせるような冷たさを帯びた空気である。
できれば、親に大切に思ってほしかったと彼は来し方を振り返る。行く末、親との間に時間がもたらす何らかの柔らかさが生まれれば嬉しいと夢想することもある。しかし、親は、自覚あるとなきとに関わらず、かれの心を傷つけ、歪め、放り出す。それでいて、かれの心はいつまでも親の視線に絡め取られたまま、餓えて乾いて荒野の果てをさまよってひとところにとどまることをしらない。
そういうちょっとしんどいのを昼食後に観て、胃が燃えた。4K8KNHK