ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

これからどんな見てくれに変わっていくのか

 還暦以上の年齢の女性をおもな顧客ととらえているCという衣料通信販売サービスがある。Cに郵便、電話又はネット経由でカタログを請求すると、まもなく分厚いカタログが届く。定期的に、繰り返し、繰り返し、熱心に。肝心の品物はといえば、たとえばブラウスならば1枚2000円程度で、それほど高価ではなく、またそれゆえにそれなりの生地それなりの縫製である。ただし、そのブラウスは1枚2000円程度ではあるが、しばしば同サイズで3色組6000円という販売価格になる。もし、ほしい商品が3枚組だったならば、ローズマリーの色が気に入ったからそれだけ頂戴というわけにはいかなくて、セージのもアイボリーのも買う必要がある。高齢者向きに軽い繊維を使って製品を仕立てているけれども、それはひっくり返せば何回か洗濯を繰り返せば生地がくたびれてくることを意味している。

 同じブラウス1枚2000円ならば、わたしなら、ユニクロで買うと思うけれども、肩が痩せておなかがぽっこり出てくる年頃の高齢者には、ユニクロさえ着ていればどうにかなるとはとてもとても思えないようだ。そして、肩の縫い目が落ちすぎず、腰回りに微妙なタックが施されているCの衣類のほうが自分に合うと思う人もいるようだ。Cの縫製は、ユニクロのよりずっと粗いものであるにもかかわらず。

 先週、あるところで、Cのカタログをめくり、そして掲載されている服の実物をみて、還暦からといったってそこから30年も40年も生きるのに、との思いを新たにした。ユニクロが高齢者向きにサイズを調整したファストウェアを出さないように*1、Cもまた、60歳にも95歳にも同じ柄のブラウスやチュニックを着せようとする。1965年生まれと1930年生まれでは、身体の作りも衣類の好みもまったく違う。還暦になった途端、35歳も年上の人と同じカタログを繰って服を選べといわれても途方に暮れることだろう。

 ただ、目下の困りごとはそういうことではない。十年前に長期の入院を数回繰り返す病気をして以来、外に勤めに出ることもなく、好きな服しか選んでいないため、クローゼットの中の服のフォルムが、つまり、配色はともかく型が、いわゆるkawaii方向に大きく傾斜するようになった。礼装だけは年相応のものを揃えたけれども、それすら油断すればなんとなくkawaiiものを選んでしまいそうになった。

 およそドレスコードのない世界に生きている半病人、いや、いわばフルタイムの病人なので、ウエストを絞り込んだスカートなど履かなくなったというわけだけど、実はスカートの代わりに身につける衣類のひとつであるワンピースというのは、肩と背で支えて恰好をつけるものなので、本来は、猫背は禁物なのだ。……なるべく姿勢はよくしようと努めているけれども。そのワンピースにしても、肩と背中と腰の肉が衰えてくると横に取っていた部分が下に垂れて、なんと見かけの丈が長くなってしまう。

 

 

 

*1:それとももう出しているのかな。