ぴょん記

こつこつ憶える

インドの食卓

 ひさしぶりにベランダに出た。風邪ひきふたりがせいだいに着替えたり汗を拭いたりした結果として生じた寝間着と肌着とタオルを干すためである。すると、煙を上げる寸前のフライパンにグラインドした各種スパイスを広げて炒めている香りがすかさず下の下の下の階からここへ上がり込んできた。家族のためにその家の主婦が炒める、身体をいたわるための丁寧な調合、やさしい香り。これは、午前中によく漂ってくる。夕方には、ナンの生地を打つ音が小さく低く伝わってくる。肉と野菜とスパイスと、ナン。遠い国から海を渡って働きにやってきたお父さんと、お母さんとたぶんこどもたちが毎晩囲む、慎ましやかな食卓。