ぴょん記

食べる、遊ぶ、学ぶ。

Kino

『その夜の侍』

真夏の夕方、前方不注視で運転していたトラックにぶつかって、自転車の主婦が倒れる。トラックの運転手と助手席にいた同僚は事故現場から逃走する。救護義務違反と通報義務違反と。正確な死亡時点は確定されないが、とにかく早い時期に被害者は亡くなってい…

『100日間のシンプルライフ』

ドイツでアプリ開発を行うベンチャー企業を共同経営する幼なじみの男性ふたり。37歳のパウルと35歳のトニーは、プライベートでも同じ建物の違うフロアに住んでいる。開発したアプリケーションをアメリカの会社が高額で買い取ることが決まった矢先、ふとした…

『一死大罪を謝す』

役所広司さんは、『孤狼の血』では警職法の向こう側を泳ぐ警察官を、『すばらしき世界』では生涯の殆どを塀の内側で過ごした元受刑者を演じた。『三度目の殺人』で扮したのも、若いころに殺人を犯し、出所後ひっそりと暮らしていたが、ある事情から再び人を…

『犬猿』

お題「ゆっくり見たい映画」 商用のポスターの印刷を受注して、協力会社に下請けに出す会社に勤める若いサラリーマンがいる。辛抱強くて気弱な感じである。彼がある夜、自分の慎ましいアパートに帰ってきたところ、刑期を終えたばかりの実兄が訪ねてくる。兄…

『居眠り磐音』

かの田沼意次の試みのひとつに、南鐐二朱銀を全国に普及させようとした通貨政策がある。豊後関前藩を致仕して江戸の民間に籠居することになった坂崎磐音は、両替商今津屋の用心棒として雇われることになる。市場でははやくも値崩れの兆しが観察されるにもか…

『お嬢さん』

『お嬢さん』という韓国映画で、観るのは2回目だったけど、記憶にある結末と異なるエンディングだった。— pyonthebunny (@ae_pyonpyon21_j) 2021年10月17日 ここに、実の親が何らかの事情で手放した乳飲み子を闇で金持ちのうちに売るような稼業の養母に育て…

『アスファルト』

今年のノーベル文学賞を受賞した作家は、ポストコロニアル文学の方面で名のある人だという。20年かそこら前の「現代思想」などでは、さかんに取り上げられていたポストコロニアル文学。既存の文化を強力に均して分厚く被覆してきた、多くはヨーロッパからき…

『望み』

この映画の舞台である戸沢という町は、おそらく埼玉県所沢市なのだろう。その関東の中核都市のひとつである町で暮らす石川家は、建築士の父とフリー校正者の母、高校生の長男に中学生の長女の四人家族。それぞれ堤真一、石田ゆり子、岡田健史、清原果耶が演…

『そこのみにて光輝く』

舞台は、函館の海辺、それも寂れた辺りである。冒頭、綾野剛が、下穿き一枚で畳の上で微睡んでいる。それを爪先からじっくりと見せてカメラは上半身に移っていく。この俳優の放恣なさまは、謹厳実直な松平容保を演じた『八重の桜』においても隠れようはなか…

『水を抱く女』

undine.ayapro.ne.jp 朝日新聞デジタルの&Mさんからのご招待で、オンライン試写を。ドイツ語に日本語字幕だから、なんとか筋は追えたものの、家で映画を観るとなると、なにかとわがままが通ってしまうので、まず、ビールは我慢。その代わり、昨秋に購入した…

『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』

日本語吹替版をWOWOWで。映画冒頭、赤軍兵士である主人公らはT-34ー76たった1両で、モスクワ近郊に押し寄せるドイツ国防軍の戦車隊を迎え撃つが、あえなく破れる。それが1941年のこと。それから時を経た1944年、押し戻されたとはいえ、なお、勝利を信じてやま…

わたしにとっては愛しいあなた

『危険な関係』の翻案。1931年の上海、中国人の大富豪たちが夜な夜な華やかなパーティに時を過ごした時代。女は、自分を捨てた男への復讐のため、彼の若い婚約者の貞操を奪おうとある企みを練り上げる。共犯者は、彼女のかつての恋人。このものがたりには主…

劇場版『ダウントン・アビー』

downtonabbey-tv.jp わたしは、午前に始まる早い回を観たのだけれど、満員の観客のほぼ全員が、ダウントンアビーが好き、クローリー家の皆さん、使用人の皆さんとても好き、という雰囲気で、集中してスクリーンの中に入り込んでいた。そういう空気の中で映画…

『オーバーフェンス』『不能犯』

オーバー・フェンス 発売日: 2017/05/24 メディア: Prime Video 不能犯 発売日: 2018/07/13 メディア: Prime Video 『オーバーフェンス』は、函館の職業訓練校の建築科に集う、年齢も家庭環境も経歴もばらばらな男たちと(そういえば、女性の訓練生は映ってい…

『信長協奏曲』

アマゾンプライムで観た。小栗旬が、織田信長の影武者の三郎、そして、奥さんの帰蝶さんは、柴咲コウだ。しかも、市が水原希子で、両方、わたしの好きな女優さんなので嬉しかった。 映画『信長協奏曲 NOBUNAGA CONCERTO』 発売日: 2016/07/20 メディア: Prim…

『決算!忠臣蔵』

大高源五が濱田岳で、例によって右往左往する役。うまい下手を論じる以前に、この人はこういう実存としてフィルムのなかに残されることが決められているのだ。 chushingura-movie.jp 最初に断っておかれたように、作中では、蕎麦1杯16文を現在の480円として…

『フッド:ザ・ビギニング』

時代考証一般(特に、登場人物の衣服。)を、あえて重んじていません、という開き直りを堂々と前面に出したドラマ作りで、この傾向は、NHKで夜遅くに放送していた『クイーン・メアリー 愛と欲望の王宮』の王妃や王太子妃、その侍女たちの衣装でも顕著だった…

『楽園』

吉田修一の原作に基づく映画。松本市近郊の長閑な田園風景が広がる場所で、幼女失踪事件が起きる。田舎の和やかな景色に隠された、差別や暴力。ずっとそこに暮らしていた人と、外からやってきたり戻ってきたりしたりした人との間に。年長の人と、年若な人と…

初秋の映画観覧

『エンテベ空港の7日間』を観た。収監中の活動家の釈放を求めて、エールフランス機がハイジャックされ、アフリカ中部の空港に降りたつ。対応に苦慮するイスラエル政府と、空港内の古い建物にとらえられた人質、同じようにどこへも行けない犯人、各者各様の…

『ピータールー マンチェスターの悲劇』

gaga.ne.jp この映画では、200年前の、マンチェスターでの屋外集会に参加した丸腰の国民に、武装した正規軍と義勇軍とが襲いかかり、死者及び負傷者を出した事件が155分で一気に描写される。この件に限らず、30年前の天安門事件だって、いまこのとき…

『世界の涯ての鼓動』

シャンテB2『梅梅』さんで。 ごく近所の夏祭りは、主催者の高齢化や予算の関係で、ビエンナーレになったりアニュアルフェストになったりするけれども、どうやら今年は確実に開催されると知って、半日都心に避難することにした。真夏に都心で、となれば、以前…

『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』

日比谷シャンテで観た。もっとも期待していたのが衣装で、これは、メアリーのたびたびのお召し替えごとに侍女たちが袖を丁寧に留めているシーンがあったように、やや略式とはいえ満足のいくものだった。それぞれの衣装は、メアリーは、青が基調で、エリザベ…

『運び屋』

wwws.warnerbros.co.jp 90歳の翁が、その経歴の白さを見込まれて、複数回、コカイン密売組織のブツの運搬人を務めた、という実話に基づく映画。朝鮮戦争の復員軍人である彼は、かつてデイリリーという百合の栽培者として仕事熱心な園芸家であったが、その…

出掛けて焦って汗掻いて

しながわ水族館と、日比谷シャンテで。

その家族の果て

ゆうべ、寝しなに観た。そのうち観るだろうなとは思っていたけれど、アマゾンプライム特典とやらで、自宅のテレビ画面で観るとは予想していなかった。 父親と母親が、古くて狭いアパートで新婚生活を送っていたのだが、やがて息子がふたり生まれてしばらくし…

読んだ漫画、観たい映画

思い立ってイレギュラーな仕事の予定を組んだので、一日の時間の進み方が十日前とはまったく違うものになってしまった。患って6年、自宅療養に移行して4年このかた、アグレッシブに働くことに取り組むのはほぼはじめてである。楽しいことは少ないけれど、…

アイヒマンを探せ

『検事フリッツ・バウワー』には、アデナウアー政権下の旧西ドイツで、フランクフルト/Mのある州の検事総長が、ときにはモサドや東ドイツの検察庁と駆け引きをしながら、南米からもとナチス高官のアイヒマンをイスラエルに移送して裁判にかけるまでが描かれ…

二日は宇宙に出た

北海道の佐藤水産さんから、鮭の切り身や昆布と一緒に、「鮭ルイベ漬」「三宝漬」などを取り寄せて、家で寿司飯を調製して、その上に刻んだ大葉と鮭ルイベ漬を載せて食べたり、ネットスーパーで取ったお寿司で夕食にしたりしている。ところで、わたしは、服…

ひとつの賑やかさを避けて別の賑やかさの渦へ

イレギュラーな一種のお祭りが近所の広場で行われるとの告知が入っていたので、午前中に家を出て、日本橋へ映画を2本、観にいった。 biblia-movie.jp 稀覯本といっていいのかどうか、「蔵書家」「垂涎」という単語がぽんぽん頭に浮かんでくるような本を愛す…

『散り椿』

2017年に亡くなった葉室麟の原作を映像化した作品を観た。岡田准一演じる瓜生新兵衛の太刀を西島秀俊が受けるシーンがあって、そのあとに大勢の刺客が待ち受ける中に、このふたりが切り込んでいくわけだが、さすがに西島秀俊、がんばって稽古をしていた…