ぴょん記

はてなスターはじめました 2022/04/19

Kino

『さがす』

※ 今回は、「ネタバレ」満載です。 金曜の夜から見始めて、途中Wi-Fiの不具合や体調不良などを経て、日曜の午前にやっと見終わった映画。中年男とその娘、青年が主たる登場人物。 物語上は、青年が、「動いている人間」に性的な関心を抱かず、むしろ絶命した…

『凶悪』を観て

一日寝たり起きたりしていたせいか、深夜になっても眠らないでいたので、白石和彌監督作品『凶悪』を観た。同作品は、実話に基づくフィクションで、狂言回しは月刊誌の記者。彼自身、痴呆症の母親の世話をほとんど妻に任せているという重い家庭の事情を抱え…

『人数の町』

タイトルはイプセン『人形の家』のもじりかしらと思って見始めたら、なんとなく不条理、とってもディストピアな内容で、『約束のネバーランド』実写版と同じようにフェンスが重要な役割をはたしていて、彼岸と此岸の境というものが21世紀のひとつの鍵概念か…

『しゃべれどもしゃべれども』

佐藤多佳子さんの原作を読んだわけでもないのに、話の筋を知っているのは、勝田文さんのまんがを読んでいたから。国分太一さんの二つ目落語家「今昔亭三つ葉」のところに、関西から転校してきた小学生の村林、クリーニング屋さんの娘の十河、もとプロ野球選…

『ルームロンダリング』

不動産仲介業者等がいわゆる事故物件を新たに賃借人に斡旋仲介する場合には、そこがどういう部屋であるかを説明する義務がある……らしいが、その事情を知りつつ、賃借した者がひとりでもあれば、以後の賃借人に対してはその義務は免ぜられる……らしいので、「…

『空白』

妻と離婚して、中学生の娘を育てている男がいる。男の職業は、沿岸の海で蟹など漁る船の主、漁師。演じるのは、古田新太。家でも学校でもひとりぼっちだった幸薄い娘は、スーパーマーケットの店長に公道を追いかけられて、逃げて、でも、逃げ切れなくて、軽…

『孤狼の血 LEVEL 2』

映画館で観たかったのにCOVID-19感染のために鑑賞を控えているうちにロードショーが終わり、ぼやぼやしていたらアマゾンプライムの会員特典で見られるようになっていた。 広島県警東呉原署刑事課所属の日岡巡査は、前作に続いて松坂桃李さん。徳島刑務所を出…

『その夜の侍』

真夏の夕方、前方不注視で運転していたトラックにぶつかって、自転車の主婦が倒れる。トラックの運転手と助手席にいた同僚は事故現場から逃走する。救護義務違反と通報義務違反と。正確な死亡時点は確定されないが、とにかく早い時期に被害者は亡くなってい…

『100日間のシンプルライフ』

ドイツでアプリ開発を行うベンチャー企業を共同経営する幼なじみの男性ふたり。37歳のパウルと35歳のトニーは、プライベートでも同じ建物の違うフロアに住んでいる。開発したアプリケーションをアメリカの会社が高額で買い取ることが決まった矢先、ふとした…

『一死大罪を謝す』

役所広司さんは、『孤狼の血』では警職法の向こう側を泳ぐ警察官を、『すばらしき世界』では生涯の殆どを塀の内側で過ごした元受刑者を演じた。『三度目の殺人』で扮したのも、若いころに殺人を犯し、出所後ひっそりと暮らしていたが、ある事情から再び人を…

『犬猿』

お題「ゆっくり見たい映画」 商用のポスターの印刷を受注して、協力会社に下請けに出す会社に勤める若いサラリーマンがいる。辛抱強くて気弱な感じである。彼がある夜、自分の慎ましいアパートに帰ってきたところ、刑期を終えたばかりの実兄が訪ねてくる。兄…

『居眠り磐音』

かの田沼意次の試みのひとつに、南鐐二朱銀を全国に普及させようとした通貨政策がある。豊後関前藩を致仕して江戸の民間に籠居することになった坂崎磐音は、両替商今津屋の用心棒として雇われることになる。市場でははやくも値崩れの兆しが観察されるにもか…

『お嬢さん』

『お嬢さん』という韓国映画で、観るのは2回目だったけど、記憶にある結末と異なるエンディングだった。— pyonthebunny (@ae_pyonpyon21_j) 2021年10月17日 ここに、実の親が何らかの事情で手放した乳飲み子を闇で金持ちのうちに売るような稼業の養母に育て…

『アスファルト』

今年のノーベル文学賞を受賞した作家は、ポストコロニアル文学の方面で名のある人だという。20年かそこら前の「現代思想」などでは、さかんに取り上げられていたポストコロニアル文学。既存の文化を強力に均して分厚く被覆してきた、多くはヨーロッパからき…

『望み』

この映画の舞台である戸沢という町は、おそらく埼玉県所沢市なのだろう。その関東の中核都市のひとつである町で暮らす石川家は、建築士の父とフリー校正者の母、高校生の長男に中学生の長女の四人家族。それぞれ堤真一、石田ゆり子、岡田健史、清原果耶が演…

『そこのみにて光輝く』

舞台は、函館の海辺、それも寂れた辺りである。冒頭、綾野剛が、下穿き一枚で畳の上で微睡んでいる。それを爪先からじっくりと見せてカメラは上半身に移っていく。この俳優の放恣なさまは、謹厳実直な松平容保を演じた『八重の桜』においても隠れようはなか…

『水を抱く女』

undine.ayapro.ne.jp 朝日新聞デジタルの&Mさんからのご招待で、オンライン試写を。ドイツ語に日本語字幕だから、なんとか筋は追えたものの、家で映画を観るとなると、なにかとわがままが通ってしまうので、まず、ビールは我慢。その代わり、昨秋に購入した…

『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』

日本語吹替版をWOWOWで。映画冒頭、赤軍兵士である主人公らはT-34ー76たった1両で、モスクワ近郊に押し寄せるドイツ国防軍の戦車隊を迎え撃つが、あえなく破れる。それが1941年のこと。それから時を経た1944年、押し戻されたとはいえ、なお、勝利を信じてやま…

わたしにとっては愛しいあなた

『危険な関係』の翻案。1931年の上海、中国人の大富豪たちが夜な夜な華やかなパーティに時を過ごした時代。女は、自分を捨てた男への復讐のため、彼の若い婚約者の貞操を奪おうとある企みを練り上げる。共犯者は、彼女のかつての恋人。このものがたりには主…

劇場版『ダウントン・アビー』

downtonabbey-tv.jp わたしは、午前に始まる早い回を観たのだけれど、満員の観客のほぼ全員が、ダウントンアビーが好き、クローリー家の皆さん、使用人の皆さんとても好き、という雰囲気で、集中してスクリーンの中に入り込んでいた。そういう空気の中で映画…

『オーバーフェンス』『不能犯』

オーバー・フェンス 発売日: 2017/05/24 メディア: Prime Video 不能犯 発売日: 2018/07/13 メディア: Prime Video 『オーバーフェンス』は、函館の職業訓練校の建築科に集う、年齢も家庭環境も経歴もばらばらな男たちと(そういえば、女性の訓練生は映ってい…

『信長協奏曲』

アマゾンプライムで観た。小栗旬が、織田信長の影武者の三郎、そして、奥さんの帰蝶さんは、柴咲コウだ。しかも、市が水原希子で、両方、わたしの好きな女優さんなので嬉しかった。 映画『信長協奏曲 NOBUNAGA CONCERTO』 発売日: 2016/07/20 メディア: Prim…

『決算!忠臣蔵』

大高源五が濱田岳で、例によって右往左往する役。うまい下手を論じる以前に、この人はこういう実存としてフィルムのなかに残されることが決められているのだ。 chushingura-movie.jp 最初に断っておかれたように、作中では、蕎麦1杯16文を現在の480円として…

『フッド:ザ・ビギニング』

時代考証一般(特に、登場人物の衣服。)を、あえて重んじていません、という開き直りを堂々と前面に出したドラマ作りで、この傾向は、NHKで夜遅くに放送していた『クイーン・メアリー 愛と欲望の王宮』の王妃や王太子妃、その侍女たちの衣装でも顕著だった…

『楽園』

吉田修一の原作に基づく映画。松本市近郊の長閑な田園風景が広がる場所で、幼女失踪事件が起きる。田舎の和やかな景色に隠された、差別や暴力。ずっとそこに暮らしていた人と、外からやってきたり戻ってきたりしたりした人との間に。年長の人と、年若な人と…

初秋の映画観覧

『エンテベ空港の7日間』を観た。収監中の活動家の釈放を求めて、エールフランス機がハイジャックされ、アフリカ中部の空港に降りたつ。対応に苦慮するイスラエル政府と、空港内の古い建物にとらえられた人質、同じようにどこへも行けない犯人、各者各様の…

『ピータールー マンチェスターの悲劇』

gaga.ne.jp この映画では、200年前の、マンチェスターでの屋外集会に参加した丸腰の国民に、武装した正規軍と義勇軍とが襲いかかり、死者及び負傷者を出した事件が155分で一気に描写される。この件に限らず、30年前の天安門事件だって、いまこのとき…

『世界の涯ての鼓動』

シャンテB2『梅梅』さんで。 ごく近所の夏祭りは、主催者の高齢化や予算の関係で、ビエンナーレになったりアニュアルフェストになったりするけれども、どうやら今年は確実に開催されると知って、半日都心に避難することにした。真夏に都心で、となれば、以前…

『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』

日比谷シャンテで観た。もっとも期待していたのが衣装で、これは、メアリーのたびたびのお召し替えごとに侍女たちが袖を丁寧に留めているシーンがあったように、やや略式とはいえ満足のいくものだった。それぞれの衣装は、メアリーは、青が基調で、エリザベ…

『運び屋』

wwws.warnerbros.co.jp 90歳の翁が、その経歴の白さを見込まれて、複数回、コカイン密売組織のブツの運搬人を務めた、という実話に基づく映画。朝鮮戦争の復員軍人である彼は、かつてデイリリーという百合の栽培者として仕事熱心な園芸家であったが、その…