ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

kyotosento

しろ子・この夏のお出掛け先

玻璃くんは、あいかわらず大学院の研究室と本来の勤め先の鴨川中の間を行ったり来たりしながら、論文書いたり授業案のプリント切ったりしている。よう働くウサギやと皆は玻璃くんを褒めるけれども、当の玻璃くんは外面よし子さんの内面如夜叉で、夜中の3時に…

弁当を運ぶウサギと豆腐屋の息子

水曜の正午前、家の固定電話が鳴る。あれ、なんやろかといいながら、おかあちゃんが受話器を取る。 「ああ、おかあちゃん、僕や。家帰ってお昼食べるつもりやったけど、午後イチでゼミあるみたいで、帰る暇があらへんのや。」「あらあ。」「お願い、シロに弁…

裏のジョンのうちの新しい家族、しろ子

ほぼ3年ぶりのこんにちは、や。去年の春に、理学部数学科を卒業して、ぼくは、母校の数学科教諭として働き始めました。あいかわらず、1限目はほとんど眠ってるし、給食のプリンは2個以上貰うし、で、せやけど、担任としての家庭訪問も文化祭実行委員会の顧問…

おかあちゃんたちの台所合戦

2019年のゴールデンウィークが10日間あったのは、その最中も前も後もそれぞれにしんどい思いをしたにはしたけれど、今般のはまあちいと長いわなあと、おかあちゃんはダイニングの椅子に腰をおろして人参の皮を剥きながらいう。 「まあちいと長い」とは、婉曲…

お母ちゃんたちは負けるが勝ちで

来年のゴールデンウィーク、御代譲りのご盛儀を挟んで、どうやら10連休になるらしいって、いまからお母ちゃんたちは戦々兢々や。そんなん立ち話している暇があったら、事始めも過ぎたことやし、まず目先の年末年始の仕度に精出したらどないやろと思わんこ…

おかあちゃんとごはんたべ

いきつけのとんかつ屋さんでは、おかあちゃんとぼくは目立たんような隅っこの席に通される。いつもお母ちゃんは上ロースカツ定食、ぼくは子供用プレートを頼んで、ほんとうの狙いは食べ放題の繊切りキャベツや。ぼくのお皿のヒレカツ2切れは、おかあちゃん…

何年生きてるのおかあちゃんは

今週、シミ子おかあちゃんは、夏の間中、こればっかりは掛け値なしで無料だった太陽の熱と光から見捨てられて、洗濯ものもままならず、陰々滅々、『平家物語』ほかの電子書籍に向かっていた。 小雨のふる秋の日中に焚き籠められた香の薫りとか、やっと雨の止…

宇宙のお母ちゃん

ぼくのお母ちゃん、じつは昨日ぐらいから『七人のイヴ』シリーズに手を出してん。ほんとは7月に書評をちらっと眺めて、「面白そやなあ。せやけど、ふつうのシュフには高いわあ。手が出ぇへん。」と独り言いうて忘れていたけど、ハヤカワのフェアで3分冊*1…

ananの例の特集号

台風が接近しつつあった日、わたしは、明け方に目覚めて、午前中に眠って、朝ごはんの残りのパンを囓ってはまた寝て、13時50分ごろまだ2時間は眠ってよいと思い、15時50分に、きょうは起きなくてもよいのではないかと思い直し、しかし、そこでにわ…

「ちらかすために片付ける」

せんに、 おかあちゃんたちの戦勝記念日 - ぴょん記 というエントリを書いて、ゴールデンウィーク明けの「主婦」の昼寝直前までを描いた。そうしたら、こんどはトゥギャッターで、あるファミリーレストランにおいて、夏休みを目前としたリアルお母ちゃんたち…

感情と行為とを架橋するもの

ひとはともかく、誰かのブログを読むとき、それが日記のように書き手の身の回りに実際に起こったことを素材として綴られたものか、それとも、一種のものがたり、架空のはなしをあたかも実生活の記録のように仕立てたものなのか、ほとんど区別などしない。目…

おかあちゃんの不思議な分身

『京兎銭兎』の18年初夏編。

おかあちゃんたちの戦勝記念日

お料理が面倒なわけでも誰が苦手ちゅうわけでもないんやけど、と、おかあちゃんがひとりごちながら台所に立っていた。ふんふん、と僕が軽く相槌を打つと、びくっと小さく肩をふるわせて、あらあんたおったんやったらはよいうて、と笑わはった。僕は、踏み台…

うさぎの年越し

大晦日の午後から、山田の一家と一緒に有馬温泉の旅館で過ごしたから、元旦の昼過ぎにおうちに戻ったときはなんとなく抜き足差し足するような気分だった。ぼく、それだけ殊勝な心持ちでおったのに、帰って玄関がらりと開けた瞬間に、おかあちゃんがぼくの襟…