ぴょん記

食べる、遊ぶ、学ぶ。

誰にとっても正しいお裁きなどない

 第8代将軍吉宗の治世の終期、江戸町奉行から寺社奉行に移った大岡忠相が遭遇した一大疑獄事件の記録である。

 吉宗の時代といえば、1995年のNHK大河ドラマ『八代将軍 吉宗』でも描かれていたように、尾張藩第7代藩主宗春の放蕩と、吉宗の緊縮財政政策がしばしば対比される。同作は、貨幣経済の浸透が身分社会として設計された江戸期の日本を本質的に変容させたことを描いた堺屋太一原作の大河ドラマ峠の群像』のその先を教えてくれた。さて、朝井まかて『悪玉伝』もまた、大阪の「銀」と、江戸の「金」との鍔迫り合いが引き起こした破綻を、ひとりの富裕で聡明な、しかし一介の町人である主人公の目から眺めた作品である。つまりこれは、大阪の理性が、江戸の官僚制に精一杯反抗する話でもある。

 養家の木津屋の家産を殆ど奢侈や尚学で食い潰してしまった吉兵衛が、なにゆえ実家の辰巳屋の立て直しに奔走することになったのか、前半の謎はおいおい解けていく。薪を手広く商い、堅実な商売を続けている限り、身代を傾ける心配がなかったはずの辰巳屋が家憲に背いてまで大名貸しを含む貸金業に手を染めなければならなかったのはなぜかというのが、この作品の肝のひとつでもある。

 卑小な個人の欲などではなく、なにかもっと大きな化け物が望んだ供物にされかかった男がいかにして虎口を脱しようとするかという話としても楽しめる。

 

 

寒さに負け続けている

 対面で相手のある仕事をしていたころには、寒の入りだろうと台風が接近していようと、ほどほどの身ごしらえで約束の時刻より前に「そこ」に着くように出かけていた。電車やバス、それに自分の足が思うように動く前提で、かなり遠くまでにも出勤していた。

 それが、このごろ難しい。遅刻をしそうな、もしかしたらキャンセルするかもしれない私的な約束は、そもそも交わさなくなった。病院の受診は、ワタクシゴトではあるけれども避けられないので、診療科の予約時刻の3時間前には家を出るようにしている。病院まで都バスを乗り継いで1時間、着いてから検体検査を受けて、それが担当医師の端末に反映されるまで1時間少しかかるとなると、そのくらいの余裕がないといけない。

 ところで、きのうはとても寒い日だった。家のなかで少し動くのも億劫に感じられたのは、加齢と病気と習慣によるものだが、毛布を被っての昼寝さえままならない寒さというものは、まったくおそろしい。

 

 最初期の作品を読みはしたけれど、あとは殆ど読んでいないこの作家の、既に老境に達してからの作品をいまごろになってはじめて読んだ。作家にとって、妻の兄であり、旧友でもある映画監督は、その身の一部でもあり、また、絶対的な他者でもあった。彼らの耀きと闇をふだんとは違う側から見せられるという経験。これは、いったい正常な「読書」なのか。

 

きょうは家事に勤しむ

 日曜だかにけっこうたくさん干した洗濯物を畳みつつ、冬物のベッドスプレッドを含む新規の洗い物をした。それから出かけて、ドラッグストアでサロンパスやバラ売りの湯ノ花というか、バスソルトを少し買ってきた。わたし自身はバスタブに浸かることはごく稀なのだが、電解質らしきものをお湯に溶かすとほかほかするらしくて、バスソルトを好む人は多い。わたしの唯一の家族もそのひとりである。ほんとうは、クナイプの大きなプラ容器がいいのだが、同じのを気長に使わなければならなくていずれ飽きるので、不経済だがあえて小さいのをいろいろ手に取ってみる。

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パッケージを見るだけでも楽しい。

 帰ってからは、アイロンかけをして、シチューも煮た。わりとよく働いたほうだけど、動けるときにやっておかないとあとがきつくなるから。

 きょうあたりからしばらくの間、東京近辺も冷え込みが続くらしいので、どうぞ皆さんお身体を大切になさってくださいね。

 

 

『鎌倉殿の13人』第2回

 政子は、たしかに頼朝に恋をしており、当時の婚姻適齢をやや過ぎた武家の娘としては/も、やや一生懸命すぎるように見える。しかし、伊豆の諸家の中では評判のしっかり者であり、伊東の八重姫ほどでなくともそれなりに美しい政子は、彼女なりに自分と生家である北条の将来を見据えて、いまは流謫の身である頼朝を選んだのである。頼朝は頼朝で、一方の武家の棟梁として平相国の首級を挙げ、親兄弟の仇を討つために、身内となるべき家として北条を選んだ。彼が妻とする政子は、この北条と頼朝を堅く結びつける、あでやかで確固たる綱である。

 今回は、都から後に牧の方と呼ばれる「りく」が北条館へと下ってきた。都で夫婦約束をしたからと、彼女からみると相当年上の四郎時政のもとへやってきたのだ。「しーさま」と夫を呼ぶ「りく」は、時政の長女である政子と一つふたつしか違わない。「りく」は、いまはまだおとなしくしているが、抜かりなく都ぶりを北条館に持ち込み、伊豆の一豪族にとどまるには、あなたはいかにも惜しい人、と「しーさま」を焚き付ける。政子や義時らではなく、時政と自分こそが頼朝の野望の直近にあって権力を掌握すべきであると望む「りく」には、艶麗な花のような宮沢りえさんこそがふさわしい。

 曾我兄弟のエピソードの芽も着々と育ちつつある。とりあえず、次回は、以仁王が令旨を。

 

 

 

やっと起きられた

 今朝は、3日分くらいの洗濯物を干した。予洗と本洗いを1回ずつで1時間強かかる。やや低温だけどなんといっても湿度も低いので、タオルなどは丸一日干しておけばぱりぱりに乾く。乾いたタオルで洗い上げた髪の毛を包み、しばらくそのままにして水気を移し、毛先から滴が落ちない程度になったら湿ったタオルをオイルヒーターに掛けて、髪の毛にブラシを通す。ブラシにはびっしりと抜け毛が絡まるから、それを広げた古新聞にとっては髪に通し、またとっては髪に通すのの繰り返し。どうにかこうにか髪がまっすぐになったら、そのまま寝ても大丈夫。

 

 新しいデロンギ社製のオイルヒーターがきましたが、30年前のフィリップス社製のとスタイルが似ており、斜めに先祖返りしたような感じ。電気代はたしかに高いけれど、メンテナンスの簡単さと安全性(火と、空気の。)の高さは、たいしたものです。

 

胃腸がまたストライキ

 金曜日の通院でとても寒い思いをしたせいか、身体の中身とガワが離れたような気色わるさ。これは胃腸がよくないときに味わう感覚で珍しくもないけれど、今回は、頭までしきりに痛むようになったので、早めにロープを叩いて痛み止めのLをのんだ。Lは、胃を荒らすけれど、その直前に毎日の薬に含まれる胃薬ものんでいたので、まあいいかと思ってのんだ。今回は、わりとうまく効いて、しばらくしたら頭痛やいろいろな苦しさがぱーっと消えていた。

 そうこうしていたら、大学入試センターの本試験の第一日目に文京区のある大学の門近くの路上で殺人未遂被疑事件が発生したというニュース速報。試験中にその大学の上空を取材の報道ヘリが飛んで騒音がひどかったというツイートもあったけれど、本当ならば事件と同じくらい、いや、それ以上にひどい。第一日目は、午前に地理歴史など、午後に国語と英語、ひどい事件の直後だからこそ、せめて静謐を守った環境で試験を受けさせてやりたいと思うのがかりにも大人を名乗る者らであろうものを。

 傷を負った3人の早期のご回復を祈ります。

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金曜日に食欲がわかなかったお昼。

 でも、結局、おいしくいただきました。

 

定期通院でバスでいった

 午前11時前。家を出て最寄りのバス停に立つ時刻を間違えてしまったために、日陰で風の強い場所で四半時ほども佇立することとなる。やっと会えた目当てのバスに乗り、途中で一度乗り換えてD大学医学部附属病院へ。最低湿度18パーセントという乾燥のため、採血後に目の前に置かれたカフェのホットドッグになかなか手が伸びない。パンを口にしたらたちまち身体中の残った水分がそこからもっていかれそうで。

 帰りのバスのなかで、ウレタンマスクの初老の婦人と布マスクの初老の婦人が身振り手振りを交えて声高に語り合っていた。座席が近く、あいにくバスが込んでいて身動きも難しいので、不織布マスクの上からハンドタオルを当てて目を閉じてバスが一刻も早く終点に着きますようにと祈るような気分で待った。